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最終更新日:2016年3月23日(水)


かみかわ「食べものがたり」: 丸三 美田実郎商店「とろみちゃん」


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片栗粉の常識を覆した、新しい片栗粉
「でんぷんは生活に欠かせないものになっています」と(株)丸三美田実郎商店代表の太田孝夫さん
丸三 美田実郎商店「とろみちゃん」 かみかわ北部
片栗粉に付加価値をつける

 片栗粉の常識を覆した片栗粉。そんな新しい発想の片栗粉が、士別市の小さな町、上士別町から生まれていました。

 忙しい時こそ、手際よく済ませたい食事の準備。ですがあんかけ料理などは、片栗粉の粉が飛び散ったり、ダマになってしまったりと、慌てれば慌てるほど失敗してしまいませんか?そんな欠点を解消したのが、ふりかけタイプの片栗粉「とろみちゃん」です。

 同商品は顆粒状の片栗粉。水で溶く必要がなく、かき混ぜながらサッと振り掛けるととろみがつく便利な商品。「ありそうでなかった便利な子」。容器に書かれたコピー通り、ありそうなのに、それまで誰も考え付かなかったアイデアは、士別市の美田実郎商店が開発したデンプンの付加価値でした。

 大正12年創業の美田実郎商店は、昭和29年から馬鈴薯でん粉を製造。他にも肥料や農薬の販売、米の卸などを行う会社です。

 上川地方は、馬鈴薯・でん粉製造の盛んな場所で、かつては200カ所ほどのでん粉工場がありました。ところが平成12年、馬鈴薯・でん粉の輸入が自由化されたことで、このままではやっていけないと統廃合が進み、工場も減少。平成23年頃には、全道で農協関係の工場が11カ所、民間工場系の工場が7カ所に留まっています。

★ふりかけタイプの片栗粉「とろみちゃん」(200g入)356円(税込) 
材料の馬鈴薯は富良野から士別までの上川産を使っています
「とろみちゃん」を振りかけた後、一気にかきまわすのがコツ

 

振動造粒法で顆粒を実現

 同社では早くから危機感を感じ、「馬鈴薯に付加価値を付けたい」と新たな道を模索していました。多くの主婦の意見にも耳を傾け、浮上した問題が「片栗粉は使いにくい、水溶きが面倒」という言葉でした。それなら水に溶かさずに使えるふりかけタイプの片栗粉を作ろうと、平成2年から開発に乗り出しました。

 通常の片栗粉は数10ミクロンの微粒子であるため、そのまま入れると外側だけにとろみが付き、中は白いダマになってしまいます。それなら粒子を大きくすればダマにならないのでは?と考え、当時の北海道立工業試験場の協力を得て顆粒状にする研究が進められました。

 当初、簡単にできると思っていた顆粒状ですが、通常の顆粒状にする様々な方法を試みても、片栗粉ではできません。結合剤を使う方法もありましたが、赤ちゃんからお年寄りまで幅広く安心して使ってもらうためには、添加物は入れられません。無添加にこだわり続け、その後も試行錯誤を繰り返します。そして、2年の歳月を掛けようやく発明したのが、水分を48%まで下げ、脱水したでんぷんを振動させることにより顆粒にする「振動造粒法」です。この製造法で、特許も取得しました。


通常の片栗粉は20~30ミクロンの微粒子でかたまりがあると周りだけ溶けて「ダマ」になりやすい「とろみちゃん」の粒子は200~1500ミクロンの顆粒なので、粉が舞ったり固まることがありません

 

まるで寅さんの世界

 こうして商品は平成4年に完成。しかし、本当の意味での苦労はここからだったかもしれません。今までにない新しい発想の商品を売るということ。それは、相手に商品への理解がまったくない、ゼロからの始まりです。

 当時は販売部長だった現・代表取締役社長の太田孝夫さんは、まずサンプルを持って旭川などの料理教室に配り、アンケート調査を行いました。使いやすいという意見が多かったのを受け、自社工場を建て本格的に販売を始めました。

 太田さんは、さっそくカバン一杯にサンプル商品を入れ、東京へ向かいます。誰も知らない、何のツテもない場所で、新商品の売り込み。東京のホテルで、電話帳を開き住所を調べては、商社や出版社を回りました。「断られても、使ってみて良かったら載せてくださいと強引に商品を置いてきました。まるで寅さんの世界ですよ」と太田さん。

 まったく相手にされなかった出版社も、読者からの投稿という形で、平成6年に育児雑誌「ひよこクラブ」に「離乳食に便利」と掲載。また平成9年「暮しの手帖」でも紹介されました。「暮しの手帖に載った時は嬉しかったですね。持ち込みをした時は“私どもは持ち込みの商品は一切取り上げません。あくまでも自分達が使ってみて本当に良いと思った商品しか取り上げません”そう言われたのを覚えています。それが紹介されて嬉しかった」。

 各スーパーに売り込む時も、スーパーのバイヤーはほとんどが男性。商品を持って「便利ですよ」と言っても、実際にあまり料理をしない男性には、何が便利なのか判ってもらえません。それでも、少しずつ置いてくれる店が増えていったのは、商品を知った女性客からの要望や問合せによるものでした。「こんな商品があると聞いたんですが、置いていませんか?」そう問い合わせてくるお客様。太田さんの長い苦労の道は、しっかりと消費者の食卓へ繋がっていたのです。


「とろみちゃん」を製造する自社工場の様子

 

離乳食や介護食に注目

 平成6年には、優良ふるさと食品中央コンクールで最優秀賞にあたる農林水産大臣賞を受賞。また平成8年にも発明奨励賞など、その商品性が認められました。発売当初は、24本入りが10ケース売れると、拍手をして喜び合ったのが、平成27年には年間100万本以上の出荷を達成。そのうち道内は1%、他は道外の市場へ流通されています。

 売り上げの数字が物語っている、その使い勝手の良さ。お弁当に汁物を入れるときにも少し使うだけでとろみがついてこぼれにくくなり、インスタントラーメンも振り掛けるだけで広東麺に変身。寒い季節はスープにかけると、スープが冷めにくくなります。昔懐かしい「でんぷんかき」も、普通の片栗粉では水で溶かし少しずつお湯を入れてかき混ぜますが、とろみちゃんならお湯をかけて混ぜるだけ。なにより、離乳食や介護食にも注目されています。赤ちゃんからお年寄りまで安心して使ってもらうために、開発時も無添加にこだわり続けた意味が、ここにしっかりと生かされています。

 

  株式会社丸三美田実郎商店

 
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