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最終更新日:2018年5月15日(火)


かみかわ「食べものがたり」:ecoおといねっぷ 「おといねっぷ味噌」


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生きた味噌を届けたい…昔ながらの味噌づくり
「自然に任せる味噌作りは元祖スローフードですね」と、味噌作りを担当する渡部定治さん
ecoおといねっぷ 「おといねっぷ味噌」 かみかわ北部
北の地、音威子府村の寒仕込み

 北海道で1番小さな村、音威子府村。人口わずか800人足らずの静かな村で、コツコツと正直に昔ながらの製法で真面目に作られたのが無添加・天然醸造・北海道産原料100%使用の「おといねっぷ味噌」です。

 昔ながらの作り方にこだわり、北国の厳しい冬の間に仕込む寒仕込み。10℃を越えると糀(こうじ)は発酵を始めるので、発酵が始まる前の寒い時期に仕込みを終わらせます。寒さの中でゆっくりと、きめ細かに発酵がスタート。その後、夏を2回越えてゆっくり熟成。こうして手間と時間を越え、最高の寒仕込み味噌が出来上がります。

 食の安全安心を考え、材料の大豆は北海道産白目青大豆100%、糀は北海道産米を使った自家製です。

画像おといねっぷ味噌 ★「おといねっぷ味噌」(1kg)720円(税込) 
大豆の風味を大切にした昔ながらの製法で作る、無添加の味噌です
遺伝子組み換え作物も一切使用していません使いやすい750g700円(税込)、400g460円(税込)もあります。 

 

生きている証拠

 同店の味噌には、ある悩みがありました。「そのまま置いておいたら袋がパンクして味噌が飛び散った」「袋が膨らんでくる」というクレーム。でも、これは糀が生きているからこその証拠なのです。

 「うちの味噌は添加物は使わず、酒精などの発酵止めを使っていないので、寝かせておくと発酵し続けます。それで常温だと袋が膨らんでくるんです。発酵が進んで糀が見えないぐらい馴染んだのが好きな人、また糀が残った状態の風味が好きな人、それぞれの好みで食べて頂きたいと思って作っています」と総務担当理事の杉山均さん。

 実は物流の利便を考えると、発酵止めをしたほうが輸送コストも下がります。それでも「生きた味噌を皆さんに届けたい」とこだわり続ける美味しさです。

画像大豆と杉山さん
写真右は総務担当の杉山 均さん。 

 

受け継いだ自然糀の技

 「NPO法人ecoおといねっぷ」が味噌や糀作りを始めたのは平成17年から。まだ10年ほどの歴史ですが、糀を作る室(むろ)には、数10年使い込んだ糀を作る木製の箱「糀蓋」が積まれています。

 これは、剣淵町で昭和35年頃より創業していた千葉糀店から譲り受けたもの。実は味噌作りも、千葉糀店からの教えを受けた作り方です。同店は組合員千葉幸司さんの実家で、父親が高齢で店を閉める際、その技術とともに糀を作る糀蓋も「NPO法人ecoおといねっぷ」で受け継ぎました。

 昔ながらの糀蓋で作る自然発酵の糀に、かかる日数は丸3日。機械で作るのと違い、微妙な温度管理が非常に難しく、しばらくは目が離せません。まず糀蓋に炊いた米を並べ糀菌をまきます。ストーブの火で温度を一定にして自然発酵。慈しむように手間をかけ、糀の仕込みが始まると深夜まで帰れないこともしばしばです。

 1年間に作る味噌は10トン。それに必要な糀が3トン。自然発酵の分だけでは足りないので、機械で発酵させたものと半々で使用しています。

 塩分は腐敗しないためのギリギリの量を使用。大豆を炊くときも、同じ品質・味にするため毎回、量も時間もしっかりはかります。この分量や時間は千葉さんが父親が作るのを見て覚え、それに改良を加え数字化したもの。そしてあくまでも手作りにこだわり、糀を混ぜるのも機械は使わず手でこねています。

画像味噌製造中 難しい温度管理が必要になる糀作りが始まると、気が抜けない日が続きます人の手を加えるごとに美味しさが埋め込まれていくそんな「ecoおといねっぷ」の手作り味噌は2年近い熟成の時を経て食卓にあがるまで、人の手と人の目で守られています

 

“輸送”時代の安全を“食”の安全へ

 「添加物を入れないで、自然に任せた味噌作りをしています。世の中便利になってしまって、こんな昔ながらの作り方は古いかもしれないけど、昔の良さをもう1度見直していただけたらと思います。元祖スローフードですね」と味噌作り担当の渡部定冶さん。

 味噌は自然の状態で保管しているので、暑い年、寒い年で熟成の進み方が変わります。その影響は、木やコンクリートなど床の素材が違うだけでも表れるほどデリケート。気象条件も考慮しながら、発酵が均一になるように保管場所を動かして、温度調整をしていきます。

 同じ日に仕込み、同じ場所で保管しても違いが出てくるほど難しい温度管理。神経を使う大変な作業も、「この味噌を食べたら、他の味噌は食べられない」「他の味噌でお味噌汁を作っても子どもが食べない」そんな消費者の声が支えています。

 「NPO法人ecoおといねっぷ」は国鉄が民営化されるまで、音威子府周辺の国鉄で働いていた方々が作った組織です。他にも木工製品の販売などを行い活動資金や生活費に充ててきました。

 平成22年には、23年の月日をかけ無事和解に至りましたが、今も一般の事業として引き続きお味噌や羊羹、木工製品などを作り続けています。「闘争資金と生活資金をかせぐために始めた二足の草鞋でしたが、手を抜いてきたことはありません。これからも地域に根ざした事業として、多くの人に食べてもらい音威子府のことを知ってもらいたい。今後もより一層こだわり続けたものを作っていきます」と力強く語る杉山さん。

 キーワードは、国鉄としての輸送時代の安全を、食の安全へ。その線路は、どこまでも続いています。

 

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