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最終更新日:2018年5月15日(火)


かみかわ「食べものがたり」: 天間農産本舗「ヒグマのごちそう」「マドンナ」


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(ジャンル)食べものがたりトップページ > 野菜・果物・お米 > 天間農産本舗

食味のよさが受け、スイカ作付面積日本一
大きなスイカが目印の看板の前に立つ天間さん

天間農産本舗 スイカ「ヒグマのごちそう」「マドンナ」 かみかわ南部
稲作に不向きな石混じりの土地のため、水田を止めてぶどう栽培へ

 「北海道のスイカは、気温が高い九州産のものなどと違い、シャリシャリとした食感が強いんです。夜と昼の温度差が大きいため、糖度も高い。評判が良いので、道外に販路を開拓した結果、作付面積が徐々に増えていきました」と話すのは富良野市山部地区で農業生産法人 天間農産本舗の社長、天間幸博さん。平成26年度にはスイカの作付面積が20ヘクタールとなり、日本一に輝きました。

 現在はスイカとぶどうを主体に農業経営を行っていますが、元々は稲作農家でした。ただ、山部地区でも傾斜地にある天間さんの水田は、稲作には向いていませんでした。というのも、土地自体が石が混じった石礫(せきれき)地で、水はけが良すぎて水田には適さないのです。しかも高い山が近く、日当たりも良くありません。特に山は水田の西側にあるため、朝日は差しますが、西日は山に隠れて水田が陰になってしまいます。そのため、夜間は低温化し、稲は十分に生長しないのだと言います。

 20歳のころから農家を継いだ天間さんですが、昭和45年ごろから本格化した国の減反政策の波にもまれます。消費者がブランド銘柄の1等米を好むという時代背景の中で、品質の劣る米は売れません。稲作からの転換を余儀なくされました。昭和47年、富良野市がワイン作りをスタートさせたのを機に、ぶどう栽培に取り組むことに。地域ぐるみの“大転換”で、農家の存続をかけた戦いが始まりました。

スイカの画像

 

近隣のスイカ栽培での成功例を見て、『山部西瓜』で道外進出

 その一方で、天間さんはスイカ作りも始めました。きっかけになったのは、山部地区に隣接する御料地区でのスイカ栽培。山部より早く、昭和40年からスイカを手掛け、「食味がいい」と市場から一定の評価を得て「みそのすいか」というブランド銘柄にまで成長していました。山部と同じ石混じりの土地は水はけが良く、スイカには適した環境なのです。しかも、寒暖の差が激しいことは稲には不向きですが、スイカには好条件。1、2年スイカを作ったところ、市場から一定の評価を受けたことから、栽培を本格化させました。

 ただ、すでに近隣地区に「御園西瓜」(みそのすいか)というブランド銘柄があったほか、道内では「らいでんスイカ」という銘柄もありました。山部地区で生産されるスイカは「山部西瓜」(やまべすいか)の名称で売られることになりましたが、他のブランドに比べ、知名度は圧倒的に低いものでした。しかも道内のスイカの消費期間は、7月~8月中旬のお盆までというのが一般的。とすれば、道内の他のブランドと競合するより道外へ販路を開拓すべきと考えた天間さんは、北海道とは最も離れた九州への売り込みを積極的に推し進めることにしました。

 「スイカというのは1個そのまま売るのもあるけれど、半分にしたり、あるいはカットして食べやすくするなど、いろいろな方法がありますよね。その際、果肉が固いかどうかが大切なポイント。「山部西瓜」は果肉がしっかりしているので、どんな形態でも販売は可能だったんですよ」と天間さんは胸を張ります。

画像「マドンナ」と「ヒグマのごちそう」 ネットで1万円の値が付いたこともあるハウス栽培の「マドンナ」(左)と「山部西瓜」から名称変更した「ヒグマのごちそう」(右)

 

糖度は『でんすけスイカ』と同程度の12度を維持

 スイカは、ウリ科の1年草。区分上は「野菜」です。2月中旬に種を蒔き、育った苗を3月下旬にハウス内に移植します。スイカは連作障害があるほか、病気に弱いため、ユウガオを台木として接木します。15cm程度に育ったところでがっしりとした苗になっているかが、その後の成長を左右します。葉が大きいほど多くの光を受け入れることが可能なため、良いスイカが期待できます。

 食味を良くするためには、なるべく窒素分を少なくします。土壌の管理が重要なポイントです。また糖度を上げるには、収穫の2週間前になったところで水を与えるのを止めます。スイカ栽培農家の間では、これを「水を切る」といい、甘みを増すためには欠かせない工程です。通常のスイカは糖度がおよそ10~11度ですが、天間さんの農園では、12度を維持するよう心掛けています。

画像収穫作業ハウス内での「マドンナ」の収穫作業

 

『ヒグマのごちそう』に名称変更し、2万ケース以上を出荷

 「山部西瓜」に対する評価は特に九州地方で高く、熊本がメインの市場になっています。ほかにも鹿児島、佐賀、長崎などにも出荷。最近では広島や岡山の市場にも受け入れられています。

 天間さんが作付けしているスイカの面積は20ヘクタール。最初の0.3~0.5ヘクタールから、飛躍的に拡大しています。このうち、露地物として育てられる「山部西瓜」は、約15ヘクタール。最盛期には400ケースを積載することができるコンテナを1日に2~3台、つまり1,000ケース以上も出荷することがあると言います。年間では6万ケースを出荷。食味に対する評価は高水準を誇ります。

 ただ、北海道富良野市産のスイカということは分かってもらえても「山部」という名称はまだまだ知名度不足。市場からもインパクトのある名称をとの提案もあり、平成22年から「ヒグマのごちそう」という名前に変えました。雑食性のクマは、スイカも大好物。収穫時期になるとクマが山から下りてきて食べられることがあるため名付けたものですが、すぐに覚えてもらえる名前として好評です。

 

ハウス栽培で作る『マドンナ』というスイカには、ネットで1万円を越す高値も

 また、「マドンナ」という商品名でハウス物の栽培も行っています。畑の中でも特に水はけの良い場所を選定し、魚かすなどの有機肥料100%で丁寧に育てます。その中から糖度が12度以上のものだけを厳選し、出荷。10kg前後が大半ですが、大きなものは15kgほどになるものもあります。大きくても空洞がないのが特徴で、インターネット販売では1万円の値が付いたこともあるそうです。

 「ハウス栽培は手間がかかりますが、しっかり苗を管理すれば、良いものができます。現在は1ヘクタールの畑で『マドンナ』を栽培していますが、これが限界。品質にこだわったスイカ作りを目指したいですから」と話す天間さん。シャキシャキとした食感と高い糖度、そして大きさの“三拍子”揃ったスイカ作りが最大の目標です。

 

  農業生産法人(株)天間農産本舗


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