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最終更新日:2018年5月15日(火)


かみかわ「食べものがたり」: ふらの農産公社 「ふらのチーズ」


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日本初のワイン入りチーズは手作りの味
チーズ作りを始めた経緯を話す石田さん

ふらの農産公社 「ふらのチーズ」 かみかわ南部
牛乳の廃棄処分が、チーズ作りのきっかけに

 昭和40年代、牛乳の生産過剰が問題となり、食紅を混ぜて廃棄処分にするという異常事態が発生。かといって、乳牛は1日でも搾乳を行わなければ乳房炎という病気に罹ってしまう恐れがあります。牛乳の生産調整は難しいのが実態です。富良野には当時、多くの酪農家がいました。売れる当てもなく廃棄処分というのは、まさに死活問題でした。

 酪農家の安定経営のために、行政として何ができるのか。昭和50年代後半、富良野市は検討を重ねる中で、チーズ作りに取り組むことを決断。当時30代でバリバリ仕事をこなしていた市職員・大内正三さんに白羽の矢が立ちました。大内さんは酪農学園大学の出身。少しだけチーズ作りに関わったことがありました。ただ、市が目指すチーズは「本州の業者には出せない味。だから、手作りでやろう」というものでした。

画像チーズカット中出来上がったチーズは、適度な大きさにカットされていきます

 

山の中腹の小さな小屋で、試作品作りを開始

 大内さんは早速、大学の恩師に連絡を取り、チーズ製造の研究チームを立ち上げました。昭和57年のことです。富良野で生産される牛乳は、濃くて美味しいと評判。これで、美味しいチーズができないわけがないというのが、関係者の一致した意見でした。

 市郊外の山の中腹にある小さな建物の中で、試作品作りが始まりました。富良野の酪農家から取り寄せた搾りたての新鮮な牛乳を、65℃という低温で30分間殺菌。市販の牛乳は130℃の高温で2秒間殺菌されるケースが多いのですが、低温殺菌の方が搾りたてに近い風味が保たれます。

 また、市販の牛乳は脂肪分の吸収が良くなるよう、成分中の脂肪球を細かく砕き、全体の乳質を均一化しています。この方法は「ホモゲナイズ」と呼ばれ、大半の牛乳に採用されています。しかし、チーズ作りにはこの方式は向いていません。脂肪球が大きめに存在している方がベターです。しかも、「ホモゲナイズ」しないことで甘みが強くなることも分かりました。

画像工房内売店 チーズのほか、クッキーなども置かれている工房内の売店

 

「ふらのワイン」のプロジェクトとドッキング

 続いて牛乳を温め、乳酸菌を加えた後、よくかき混ぜます。そして酵素を加えて牛乳が固まるまで、2時間ほど待ちます。この固まったものを、数10本の金属の糸が取り付けられた専用の切断機で細かく砕きます。経験と体力の要る作業です。固まらなかった水分は「ホエー」と呼ばれ、これを排出する作業に入ります。何度かホエーを抜く作業を続けることで乳酸菌が働いて、発酵が進行。このままの状況でチーズ作りを進めれば、通常のナチュラルチーズになります。

 しかし、「本州には出せない味」にするにはここからが問題でした。どんな特色のあるチーズに仕上げるのか。

 当時、富良野ではワインが注目を集めていました。昭和40年代頃から、市が積極的に関わってきた「ふらのワイン」プロジェクトがようやく軌道に乗りつつあり、量産体制も整ってきたところだったのです。また、昭和56年からはテレビドラマ「北の国から」の放映が始まり、若い年代層の観光客が増え始めていました。これらの要素を考え、研究チームはワイン入りのチーズを作ることを発案。日本で初めてのワイン入りチーズの試作品作りが始まりました。


画像工房内、工房看板、牛の模型(左)乳酸菌や酵素の働きで固まった牛乳成分を金属片の付いた特殊カッターで切り刻む
(右上)チーズ工房の前にある看板
(右下)工房内に設置されている牛の模型は、乳搾りが体験できる仕掛けになっています

 

幻想的な大理石模様のワインカラーが独創的

 ワイン入りチーズを作るには、まずホエーの抜けた牛乳のタンパク質の固まり(カード)を細かく砕きます。次に、ふらのワインの赤を混ぜ込み、さらに塩を加えて再びよく混ぜます。これを計量しながら箱に詰めるのですが、このとき幻想的ともいえるワインカラーの大理石模様が浮き出てくるのです。

 箱詰めされたチーズは圧縮機にかけて一晩置いてから熟成庫に移し、約4カ月間寝かせます。こうしてワインの香りとチーズの風味がマッチした、コクのある特製手作りチーズ「ワインチェダー」が誕生。富良野市と酪農学園大学が開発した第1号の製品です。

画像チェダーチーズ商品 ★ワインチェダー(40g×3個入)802円(税込) 

 

柔らかさが特徴のカマンベールタイプにも挑戦

 試作品が完成したのを機に、市では昭和58年、富良野農協(現JAふらの)に呼びかけ、第3セクター「ふらの農産公社」を設立。資本金2,000万円を元に量産体制を整え、チーズ作りが本格化します。「富良野に来て、買ってもらい、食べてもらうという戦略が見事に当たった。ちょうど『北の国から』のテレビ放映で“富良野人気”が急上昇していたこともあり、タイミングも良かった」と当時を振り返るのは、同社の石田博常務。富良野の40戸弱の酪農家の、濃くて美味しいふらの牛乳を確保。翌59年から、チーズ工場の操業がスタートしました。

 これに合わせて、再び酪農学園大学の関係者などからアドバイスをもらい、新たにカマンベールタイプのイカスミ入りチーズを開発。富良野の冬の大地をイメージした製品で、中身の黒は肥沃な大地を、周りの白カビは北国の粉雪をイメージしているといいます。商品名は「セピア」(セピアはイタリア語で、イカスミの意味)。味は見た目とは違い、まったくクセはありません。チェダーはセミハードタイプですが、こちらは軟質タイプのため、食べやすく仕上がっています。

 また、口当たりの良いクリーミーな白カビタイプのチーズも開発。商品名は、チーズ工房のイメージである「石の館」をフランス語に置き換えた「メゾン・ドゥ・ピエール」。賞味期限は4~5週間前後ですが、熟成の度合いにより、食感や風味が変化するのが特徴。作りたてはやや固めですが、賞味期限に近づくにつれ、とろっとした食感になります。

 

職人意識が、おいしいチーズ作りの原点

 平成5年に新築された「富良野チーズ工房」には、チーズの製造過程が分かるように見学コースが設置されたほか、隣接する体験工房では、一般の人でもチーズが手作りできるようになっています。また平成8年には、同工房の隣接地に牛乳のさらなる消費拡大をねらい、若者に人気のイタリアンジェラートを提供する「ふらのアイスミルク工房」も新設。「ホワイト」、「チーズ」、「かぼちゃ」、「とうきび」、「ぶどう果汁」など、バリエーション豊かなアイスが楽しめます。

 石田常務は言います。「第3セクターの公社は、他都市の例を見ると、いずれも赤字で大変な状況です。しかし、ふらの農産公社は昭和58年の創業以来、1度も赤字を出していません。それは、『市に頼らないでやる』という職人意識が強く、チーズ作りを生きがいにしているからにほかなりません」と。社員ではなく、職人だという“誇り”が、美味しいチーズ作りの原点にありました。

 

  ふらの農産公社

 
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