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最終更新日:2018年6月13日(水)


かみかわ「食べものがたり」: 多機能事業所のぞみ「太陽の水」


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トマトを育てながら自分たちも育っていく
トマト栽培を担当する主任・中瀬智則さん(右)とトマトジュース加工担当の濱谷徳彦さん(左)消費者の目線で安心して食べていただけるものを第一に考えます
のぞみ学園「太陽の水(トマトジュース)」 かみかわ北部
「太陽の水」の立役者

 太陽の味って、こんな味かもしれない…と思わされる「太陽の水」。自然の甘味がさらさらと体の中に流れていく。美味しくて、ゴクゴクのどが鳴るトマトジュースです。

 社会福祉法人美深福祉会・多機能事業所のぞみで障害を持つ利用者の就労支援の事業として、トマトの栽培を始めたのは平成3年。翌年にはトマトジュースを作り、当時の初代理事長・西尾六七氏が「太陽の水」と名付けました。
この「太陽の水」を、まさに太陽の光のように、さらに美味しく仕立てあげた立役者が2人います。1人は、トマト栽培を担当している主任・中瀬智則さん、そしてトマトジュース加工に携っている濱谷徳彦さん。

 「中瀬主任は、ジュースを作っている工場にも、毎日見に来るんですよ。最後までどんな仕上がりになったか気になるみたいですね。栽培に関しても一切妥協はしません」と中瀬さんのことを語る濱谷さん。

 「多くの市町村でトマトジュースを販売しています。その中で多くの方に好んで飲んでもらうには良いものを作らなきゃという使命感を感じています」と中瀬さん。トマトに関してはまったくの素人から、この事業に関わったお2人。その名コンビが、「太陽の水」の未来を切り開いてきました。

画像 太陽の水
★トマトジュース「太陽の水」(160ml・500ml)※オープン価格 
さらっとしているので、飲んだ後ものどが渇きません
飲みやすくて子どもにも人気のトマトジュースです

 

土も人間と同じ。生き物として向き合っていく。

 中瀬さんは、当時の責任者だった栗原富夫さんとともに平成17年から土作りを見直し、内城菌農法を取り入れました。町内の事業所から集めた生ゴミに、米ぬかと内城菌を混ぜ堆肥を製造。それを畑に撒いて栽培することで、うまみ成分であるアミノ酸が増加。土壌にも病原菌が入りにくくなり、安全・安心で甘いトマトが出来上がりました。

 「土が基本だったんです。肥料をやれば良いものができると思っていたけど、人間が甘やかしたら太るのと同じ。生き物として向き合っていかなきゃならないと分かりました」。

 それまで「美味しいよ」と言われながらも、なかなか売り上げ向上に繋がらなかった現実。何が悪いのか?と追求し、出した答えが「土が基本」でした。「基本に戻り、1からやってみようと考えました」。

画像 トマトと製造工程

 

トマトのバトンを受け取って

 トマトの品種は耐病性、糖度で選んだ桃太郎ファイトを使用。ある程度大きくなったら、それ以上伸びないように生育をコントロールします。個数調整をし、数を増やすことよりも、1つ1つに栄養がしっかりと届くように栽培しています。

 「トマトは、水の量でも味が変わります。少なすぎると甘さは出やすいが皮が固く、多すぎると味が薄く水っぽい」。毎日天気と相談しながら行う水や室温の調整には、休日もありません。

 小規模から始めたハウスも、平成17年から増やし、現在20棟に増築。年間20トンのトマトを栽培し、9割をジュースに加工しています。みずみずしくて甘いトマトを目指して、中瀬さんの頭の中は毎日トマトでいっぱいです。

 中瀬さんら作り手の思いが込められたトマトは、今度はジュースに加工する濱谷さんへとバトンが渡されます。「皆さんが一生懸命作っているトマトなので、それを大切に送り届けたい。だから手が抜けないです」。バトンを受け取る濱谷さんの表情が引き締まります。

画像 工場でトマトカット中

 

美味しいトマトジュースは美味しいトマトから

 “美味しいトマトジュースは、美味しいトマトから”ですが、そこは簡単にイコールでは結ばれません。美味しいトマトを使い、さらに心を込めた作り手がいるから美味しいジュースになる。プラスアルファがあって、初めて「太陽の水」になるのです。

 加工は、まず手作業でヘタや傷、青い部分を全てカットすることから始まります。それらは、ジュースに混じると黒い点々がついたり、微妙に味に影響するため、丁寧に時間をかけ取り除かれます。

 「サラッと、飲みやすいジュースにしています。採れるトマトで味が変わるので、同じものを作るのは難しい。その日のトマトの顔色を見て、煮込む時間を変えています」。長く煮すぎると酸味が強くなり、とろみがつきすぎるそう。いきなり温度を上げるのと、ゆっくり時間をかけるのと火の加熱方法でも味に変化がでます。

 トマトジュースに入れているのは、自然塩0.1%のみ。全国の塩を10種類取り寄せ、そこから選んだのが、「宗谷の塩」でした。塩を入れるタイミングも味を左右し、灰汁の出方を見ながらタイミングを計ります。

画像 事業所のみなさん
10数人の利用者さんが後片付けをしているビニールハウス内にお邪魔しました「ジュース美味しかったですよ」と声をかけると「大変だけどやりがいがあります」と明るい声が戻ってきました

 

自分たちが作っている、と言う自信

 「生産者の顔が、飲む人まで届くような美味しいものを作りたい」。そんな2人の努力が実を結び、売り上げも急激な伸びを見せました。「売れている」と言う実績は、作業に当たる利用者の意識も変えていきました。

 「トマト作りの時期が来たら、利用者さんの顔も変わります。生き生きとして、“やらなきゃならない”“俺がやっているんだ”という自信。ご家族に“自分の作ったトマトジュースだ”と誇らしげに言っています」と濱谷さん。トマトジュースは、利用者の大事な仕事。売り上げは還元され、それは利用者の大切な生活費になります。美味しいトマトジュース作りにかけるお2人の胸の中には、そんな思いも息づいているのです。

 「トマトを育てながら、自分たちも育っている」と、お2人。トマトジュースづくりの道を切り開いてきた歴代の職員、地域のボランティア、利用者が一つになり育ててきた「太陽の水」。太陽の光が育てるのは、生きるものすべて。「のぞみ」の上で今日も太陽が輝いています。

 

  社会福祉法人美深福祉会

 
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