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(ジャンル)食べものがたりトップページ > 肉類・卵 > 東洋肉店
日本初の羊の生ハム、「店は僕のプライドです」
「自分がワクワクする商品を作ればお客様のワクワクに繋がる」と(株)東洋肉店代表取締役 東澤壮晃さん
東洋肉店「羊の生ハム」 かみかわ北部
インターネットで羊肉の専門店自分にしかできないことを見つける

 創業の昭和3年から80年以上もの間、名寄市で精肉店を営んできた東洋肉店。今、3代目東澤壮晃さんが、新たな世界を切り開いています。

 語学留学を含め、あちこち海外を渡り歩いてきた東澤さん。「海外から帰ってきたら、就職先が決まっていたんです」。息子を心配していた父親が決めていた就職先、それが福岡県の糸島手造りハムでした。平成8年には、父親の具合が悪くなり、福岡から帰郷。東澤さんは、せっかく帰ってきたのだから、何か自分にしかできない仕事はないか模索します。その時、目に付いたのが事務所にあったパソコンでした。

 インターネット上のお店を出すことにした東澤さんは、羊の専門店として売り出そうと決意。「ジンギスカンなら、“北海道”という冠も使えると思いました」まずジンギスカンから売り始め、「どこでも買えるものは載せない」と羊の専門店らしい商品を充実させました。

 しかし、2年間は鳴かず飛ばず。年間30万円ほどの売り上げしかありません。それが平成12年、インターネットで羊を扱う珍しい店があると日経新聞に掲載され、話題に。その頃、羊の様々な部位を扱っている店は珍しく、売り上げは急激に増加。「インターネットも対面販売と同じなんです。顔を合わせて売るよりも密なことをしないと売れない。メールのやり取りも何度もします」。その細やかなサービスでさらに業績を伸ばし、日本オンラインショッピング大賞最優秀賞などにも選ばれました。

★「羊の生ハム」(50g)680円(税込) 
程よい塩加減が旨みを引き立て、臭みはまったくありません。しっとりした食感です

 

差別化できる羊を厳選

 「1から差別化できる羊を」と考える東澤さんは、問屋は通さずにオーストラリアなど直接現地へ赴き、自分の目と舌で理想の羊を探し求めてきます。そこにあるものをただ仕入れてくるだけではなく、「こういう規格で、何カ月育てて、こういう肉にしてほしい」と注文。より日本人に合う美味しさを極めるために、飼育方法までもこだわります。そんな視点で厳選した仕入先が現在5カ所。バランスの良いエサと、綿密に計算された飼育法で作り上げられた、自信を持って提供できる究極の肉ばかりです。


生ハムは、1番柔らかな仔羊のモモ肉を1カ月かけてじっくり熟成させ、さらに低温で燻製スパイスがピリッときいた大人の深い味わいですインターネットでは羊肉がメイン、名寄市の本店では、羊以外も様々な肉を取り揃えています

 

日本で始めての羊の生ハムを開発

 それまで商品として流通されたものがなかった羊の生ハム。「日本にない!となると燃えますね(笑)」。東澤さんはドイツ式の方法で生ハム作りに取り組みました。

 一般的な生ハムでは豚ロースを使う製品が多いので、羊のロースでチャレンジ。でも羊肉のロースは、1頭からごくわずかしか取れません。あまりにも高価なうえ、羊は融点が高く、生で食べると口の中にモソモソとした食感が残ります。東澤さんはロースを使うことを断念し、代わりに赤身の肉の筋肉質で脂肪の入りにくい利点に注目。それも仔羊の内モモだけを使い試作を繰り返しました。羊は季節や脂肪の付き方、部位、カットの仕方などによって、塩の浸透率や乾燥の仕方が違ってきます。一からデータの積み重ねが必要でした。

 こうして平成14年頃、羊ならではの美味しさが生きている生ハムが完成。塩分もしっかり付き臭みもクセもなく、しっとり。これは脂肪が吸収されにくい羊肉でないと出せない、繊維の細さが違うため生まれる食感です。さらに脂も綺麗に取り除くことで、モソモソとした食感も気にならなくなりました。現在は、福岡の糸島手造りハムに加工を依頼。東澤さんが働いていた一番信頼できる店です。

 

日本人に羊文化を

 「今まで生ハムを羊で作る人がいなかったのは、食べてみたいというニーズがなかったからでしょうね」と東澤さん。羊肉は、ジンギスカン以外にご家庭の食卓にあがることもありません。ですが、羊は宗教に関係なく世界で最も食べられているお肉。 同店では様々な部位の羊肉を取り揃え、「日本人向けの羊も、世界にはたくさんあります。羊はこんなふうにも食べられるんだということを知ってもらいたい」と様々な食べ方を提案。同店ならではの丸焼きも人気です。日本ではまだ文化になっていない羊肉を広めるために、多くのことを発信し続けています。

 

ワクワクが美味しいの原点

 「店は自分にとってプライドです。僕はたまたま肉屋をやっていますが、ここで妥協したら自分じゃなくなる。生き方かな…。ここだけは守らなきゃいけない。人と競い勝ち負けのあることではないけれど、『対・自分』なんですよね」。

 また、新しい商品を作る時に外せないのは、自分自身がワクワクできること。「作っているとワクワクしてくる。楽しい、それが原点なんです。自分が楽しくないと、食べるお客様にも楽しさを伝えられません」。たとえ美味しくても、作っているときにワクワクしなかったものは、商品にはしない。自分がワクワクしないものを、お客様が喜ぶはずがないとこだわり続けます。

 「例えば、安心安全な肉とよく言われるけど、健康に害がなければそれで良いのかって考えるんです。ただ東洋から買った肉でしかめっ面にはさせられない。ニコッとなる、楽しかったねと思われる肉を売っていきたい。それが安心して買えるということだと思うんです」と思いを語る東澤さん。

 東澤さんの作る美味しい、楽しい、そして安心。それらは全てイコールで繋がっています。

 

  (株)東洋肉店


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