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最終更新日:2018年7月25日(水)


かみかわ「食べものがたり」: 王様のパン「なべパン」


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鍋の中でエネルギーが充満していく、パンの小宇宙
「物は心で作るもの。これからも身体も心も満たされるパンを焼きたい」と王様のパン製造責任者の竹原フジ子さん
王様のパン「なべパン」 かみかわ中部
不自然食から本物の自然食へ

 「まるで、パンのしもべ」

 天然酵母で大きな鍋サイズのパンを焼く、王様のパンの店主・竹原フジ子さんは、ご自分のことをそう呼びます。

 竹原さんのパンづくりは、お子さんのアトピーがきっかけでした。自然食を心がけ、パンも天然酵母のものを東京からお取り寄せ。でも美味しくありません。ある時ふと、竹原さんは思います。「これは自然じゃない」と。昔から身土不二という言葉があります。人間の体と土地は切り離せない、その土地で採れたものを食べるのが健康だと。その考えでいくと、「これって、不自然食だと思ったんです」。

 そこで自分で天然酵母のパンを焼き始めました。使ったのは無水鍋。それが現在の人気商品「なべパン」の始まりです。ショートニングやバターは使いたくない、米を食べている日本人には合うはずと米油を使用。しかし思うように膨らみません。それでも諦めないのが竹原さん。配合も材料も変えずに、同じものをひたすら焼き続けました。

 竹原さんを支えていたのは、「絶対、膨らむ」という不思議なまでの強い信念。「今でも、どうしてあんなに焼けなかったのか判らないんだわ」と言いながらも、「たぶん酵母菌のせいね。菌は、同じように見えても同じものは存在しないから。今は、店の中にも酵母菌が浮遊していて膨らむのだと思う」と自己分析します。

 2年かけ、ようやく順調に焼けるようになったなべパン。「美味しく焼けるようになると、人に食べさせたくなるのよ。初めは知人に贈っていたのが、たび重なるとお金を払ったほうが気が楽だということになって」。さらに、大きなままより小分けしたほうが、多くの人に気軽に食べてもらえると開業を決意。そこで皆に「店をやる!」と宣言。それは自分自身にも「さぁ、やるぞ」と奮い立たせる声でもありました。

画像 なべパン ★「なべパン」(各種)一鍋2,725円(税込) (1/8カット)360円(税込) 
写真の「かぼちゃの鍋パン」をはじめ、くるみ、甘納豆、レーズン、マーマレードなど8種類
直径26~28cm、重さ2~2.3kgと大きくてずっしり、美味しさもBIG

 

身体は食べ物で作られている

 竹原さんが、天然酵母パンの最も美味しい焼き方だと選んだ無水鍋。「温度、時間、自分の舌の感覚で充分に発酵させると、あとはパンの中の小宇宙の世界です」。丸い鍋の中では、膨らもうとするエネルギーがぐるぐると充満します。それを鍋の壁が閉じ込め、香りも栄養も逃げることなく、焼き上がったなべパンにはエネルギーが詰まっています。風味豊かで、噛めば噛むほど美味しい、だから満足感が違うパンになるのです。「人間って満足度を求めてやってくる。時間をかけて手をかけて、エネルギーを入れたものは、ぎゅっとして満足感がある。噛めば噛むほどにその素材の味がするものを食べていると、人は満足するんです」。そして、その満足は心も体も満たします。

 「身体は食べ物で作られている」と食材にもこだわる竹原さん。小麦粉は下川産ハルユタカに全粒粉をブレンド。三温糖、九州の塩、卵はストレスなく育った夕張郡ユニファームの平飼い有精卵。酵母はホシノの酵母菌を使っています。

画像 パンの焼き上げ
王様の冠そっくりの山型にふくらみ、焼きあがった時は鍋蓋までピッタリ届く王様のパン他にも天然酵母のパンがバラエティ豊かに並びます天然酵母菌が素材の旨みを引き出したパンは、噛めば噛むほど美味症状の軽い小麦アレルギーの方でも食べられるパンもあります

 

熟成していく本物のパン

 パンは発酵食品です。王様のパンは、お店で充分に自然発酵させて焼き、それから熟成していきます。「買ったものには賞味期限があるけれど、それは劣化に向かっていくものです。でも、天然酵母のなべパンはこれから熟成されるものなんです。自然発酵させたものは、体にも良い」。これから腐り死んでいくものと、これから熟成されていくもの。買った時点でのその違いに、竹原さんはこだわります。「だから、本物は腐らない。もし腐っても、その部分だけ捨てれば食べられるんです」。竹原さんは、食育にも繋がる思いを抱きながらパンを焼き続けてきました。パンを作り売ることで、大切なことを伝えていきたい。手作りの小さな店をやっていく意味がそこにあるのです。

 

パンづくりは子育てと同じ

 「パンづくりは、子育てに通じるものがあるのよ」と竹原さん。「美味しいパンは球形になっていて、1点だけ鉄板に付いていれば良い。ベタッとついているパンほど美味しくないの。子育ても同じ。鉄板が親で、パンは子。親とは点だけで接しているぐらいがちょうど良い。そのほうが、噛めば噛むほどコイツは良いやつだと思える子に育つ。でもパンに鉄板(親)は必要なの」。さらに「パンづくりのコツは、適時にちょっと手前で次の工程に行くこと。子育ても、タイミングをキャッチして、その子に必要なことだけをする。親が2次発酵までさせることはないのよ。何もかも先手を打って手をかけすぎると、ダメ」。パンの講習会でもそんな話を交えながら、いろいろなことをお母さん方に伝えています。

画像 店内
大工仕事もお手のものの竹原さん素敵な店内も手作り買ったパンを食べたり有機栽培コーヒー(フェアトレードのカルロスさんのコーヒー)を飲んだりできる素敵なスペースもあります

 

明日はもっと

 「私は物は心で作ると思っている。今まで生きてきたものを全部出して、作っていく。だからどのパンもレシピはないの。本を見て調べることもしていない」。そんな竹原さんの心意気や人間的な魅力にも引かれ、同店にはボランティアで店を手伝ってくれる方もいるほど。

 「美味しいものを作るには、充分な下ごしらえが必要です。こんなに時間をかけているのかと、勉強になるみたいですね。お客様に買ってもらってなんぼなので、手は抜けません」。下ごしらえ、火加減、タイミング、その一つひとつを、いかに真剣にやっているか、その答えが、お客様の笑顔や美味しいという言葉なのです。

 夕方、王様のパンの天井の棚には生地を発酵させている無水鍋がたくさん並びます。機械は使わず自然発酵させるため、竹原さんのパンづくりは時間の予測がつきません。発酵にかかる時間がおよそ10~12時間。その時のパンの状態に合わせて、竹原さんの1日は流れていきます。合わせるのは、自分の都合ではなく、パンの都合。「パンが中心なんです。中心をずらして、自分が眠いからと寝たりすると、気持ちが悪いんですよ」。だから、竹原さんはパンのしもべなのです。

 「毎日毎日、明日はもっと良いパンを作ろうと思って焼いている。それぐらいで今日と同じパンができる。昨日と同じパンで良いと思って焼くと、味が落ちるんです」。昭和62年のオープンから今日まで、王様のパンは常に明日を見つめています。

 

  王様のパン

 
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