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最終更新日:2016年3月23日(水)


かみかわ「食べものがたり」: 夢民村「あや」


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粘り気の強さと食味の良さが消費者から支持
「夢民村」の発足当時について振り返る島さん
夢民(むーみん)村「あや」 かみかわ中部 旭川市
全国初の低アミロース米の奨励品種

 「上川百万石」と呼ばれるほど米の作付面積が多い上川地域。でも食味に関してはまだまだ評価は低かった時代、その定評を打ち破ったのが平成元年に登場した「きらら397」。上川農業試験場が良食味米の「先駆け」として世に出した品種です。

 それから遅れること3年。同試験場が低アミロース米として全国初の奨励品種となる「彩(あや)」を開発。この「あや」を作り続け、全国的に高い評価を受けているのが旭川西神楽地区の農業法人「夢民(むーみん)村」です。村長の島秀久さんは「手間をかけて育てているため、価格的に安くはありませんが、収穫される米の約9割以上は年間契約で購入いただいています。私たちのことを理解し、買い支えてもらっています」と、購入者が定着してきたことに感謝しています。


★「あや」(10kg入)5,1250円(税込)(5kg入)2,655円(税込)
低アミロース米の「あや」。袋入りだけでなく、1升からでも購入できます

 

もっと消費者に近づきたい

 平成6年、西神楽地区の農家が集まり「夢民村」を発足させます。当時は農産物の価格がどんどん下がっていました。農家が生き残るためには何かをしなければならない、という強い危機感が背景にあったのです。もっと消費者に近づきたいという思い。それが島さんたちの活動の基本にあります。

 翌平成7年、神戸の震災で被災した子どもたちを受け入れたのを皮切りに、村民統一看板の設置、田植えや芋ほりなどの体験事業、市のイベント「雪あかりコンテスト」への参加、そして大賞受賞など、積極的な交流事業を展開。

 また、平成13年には米と野菜の市内宅配サービスを開始し、消費者と「顔の見える」商売も経験しました。そんな中で感じたのは「お客さんの支持を得られなければ、モノは売れない」(島さん)ということでした。

 農家は農作物を作り、農協に出荷します。そして市場、卸売、小売などを経て消費者に届けられるというのが、一般的な流れ。この流通システムは一見農家の負担を減らしているように見えますが、一方で消費者が何を求めているのか、農家からは分からない仕組みになっています。そのことが、作り手である農家の不安にもつながっていました。


(左)店内には旭川や近郊の名産品も並べられています
(右)ランチなどの食事ができるカフェも

 

自分たちが食べて美味しい米

 宅配事業を始めたのを契機に、任意団体から農業生産法人に変えました。米作りも土壌診断に始まり、その田んぼに合った肥料を投入することで土を改良。農薬の使用回数も必要最低限に抑え、安全な米をつくるための自主基準を設けます。自分たちがおいしいと思える米、それが低アミロース米の「あや」でした。

 米に含まれるデンプンは、アミロースとアミロペクチンに分けられます。アミロースが少なくなれば、相対的にアミロペクチンが多くなります。そうするとデンプンの粘り気が強まり、冷めてもあまり食味が低下しません。通常の米のアミロース分は17~23%ですが、低アミロース米だと5~15%と言われます。ただし弱点もあり、島さんによると「冷害や病気に弱く、1等米になりづらい。ほかの品種に比べてリスクの多い米だったんです。出始めのころはかなりの農家が栽培していましたが、このため最近ではほとんど作られなくなりました。しかし自分たちは『あや』を粘土質ではなく、砂系の土壌で栽培することで、リスクをある程度回避しているんです」(島さん)と言います。

 

北海道物産展で好調な発進

 宅配を始めた「夢民村」にとって「あや」は消費者の支持を得られる米でした。つまり、自信を持って売りに行ける商品だったのです。ただ、せっかく美味しい米を作っても、農協などの流通市場に乗せてしまうと一緒に売られてしまうので意味がありません。それなら、自分たちで売るのが一番だと考えました。そこで平成14年からは、全国の百貨店で行われる「北海道物産展」への出展を開始したのです。

 物産展には「あや」のほか「ほしのゆめ」も持ち込み、買ってもらった人にアンケート調査も実施。すると「あや」を買った人10人のうち8人が、「もう1回食べたい」と回答。一方の「ほしのゆめ」は、わずか1人。「あや」は粘り気が強いほか、米自体が柔らかいという特徴があることから、特に高齢者には受けが良かったそうです。消費者の反応では、道産の新たな良食味米として注目されている「ゆめぴりか」以上との声もあるほどで、自信を持って販売できる米に成長しています。


国道237号線沿いに開設された直売所「むー」

 

純米酒部門で全国2位

 消費者とのつながりという意味では、平成16年に、市内の酒造会社と居酒屋と共同で栽培している酒造好適米「吟風」で醸造してもらった純米酒「風のささやき」が、平成20年3月に東京で開かれた第26回全国酒類コンクール(全日本国際酒類振興会主催)の純米酒部門で見事2位に輝きました。コンクールには全国各地から137品が出品され、うち純米酒部門には26品が出品。道産米の品質が非常に高くなってきている証で、食用としての道産米の人気を後押しする材料にもなります。

 

さらに消費者に接近

 また、平成19年から国道237号線沿いに、農産物や加工品の直売所となる「MUU(むー)」をオープン。自慢の米「あや」だけでなく米粉を使った手作りパンを販売しているほか、直営のレストランも併設。自分たちが栽培した食材でランチなどを提供しています。

 島さんは言います。「北海道そして旭川には、食に対する強い発信力があります。そして競争力もあるんです。農業の施策がどう変わろうとも維持できる体制を作ることが大切です」と。その原点にあるのは消費者の視点。客の支持を得るには、より安全で良質な作物を作り続けることがいっそう強く求められています。

 

  北海道夢民村

 
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