スマートデバイス表示はこちら

ホーム > 産業振興部 > 商工労働観光課 >  かみかわ「食べものがたり」: 月のうさぎ「田舎パン」


最終更新日:2016年3月23日(水)


かみかわ「食べものがたり」: 月のうさぎ「田舎パン」


イメージ フェイスブック ツイッター
イ
コンセプト 地域で ジャン かみかわ食の今
動画を見る

 
地域で探す
ジャンルで探す
肉類・卵
野菜・果物・お米
エゾシカメニュー
スイーツ・パン
飲料・酒類
漬物・レトルト類
調味料・ジャム
その他加工品
スペーサー

かみかわフードツーリズム

スペーサー
月の輝く下で、天然酵母のパンづくり
「パンづくりは、1+1がその時によって2 にならないの。それが楽しい」と姥 朋子さん
月のうさぎ「田舎パン」 かみかわ中部 鷹栖町
寝る間も惜しんで作る酵母パン

 鷹栖町の畑の真ん中にある、小さなパン屋さん「月のうさぎ」。そこで美味しい天然酵母のパンを作る姥 朋子(うば ともこ)さんは、パン生地の仕込みを朝9時から始めます。

 朝9時と聞いて、ゆっくりだと思うと、実は作業そのものは深夜1時から始まっています。夜は7時に寝て、起きるのが夜12時半頃。それから朝までパンを焼き続け、終わるのが朝6時半。その後、いったんパンが冷めるまで1時間ほど待ち、パンの袋詰めを開始。「初めは深夜2時に起きていましたが、お客様が来る前に袋詰めも終わらせたいと思うと、どんどん起きるのが早くなって」と姥さん。夜は、寝付けずに朝が来ることもしばしば。

 袋詰めが終わると、今度は翌日のパンのための仕込みを始めます。それが朝9時なのです。パンの仕込みも、以前は午後からやっていましたが、時間をかけて発酵させた方が美味しいので、午前から仕込むようにしました。ただ夏は、粉の温度も上がってしまうので、今でも午後から仕込んでいるそうです。

 たった1人で切り盛りするパン屋さんは、寝る間も惜しんでパンづくり。夜空に月が輝く時間は、必死にパンを焼く「月のうさぎ」です。

★「田舎パン」300円(税込) 
「月のうさぎ」おすすめNo.1
外側がカリッと、中はしっとりもちっとした食感で、天然酵母の小麦の味が噛み締めるほどあふれてきますちなみにNo.2がクリームパンNo.3はカレーパン

 

たった1℃の違いで味が変わる

 「タネが1番迷います。タネで決まってしまうのです」。姥さんは、タネを長時間熟成させます。その熟成する時間が、美味しさを生む大切な時間。水温は一般的なものより低め。高温にすると旨みがなく、酸味が強く出るからです。

 水温は、その日の室温をみて判断。冷蔵庫の冷水と常温の水を混ぜてちょうどいい水温に。温度計を見つめながら作業を進める姥さんの目は、真剣そのもの。「生地と水の温度を決めたら、きっちりと守ります。守らないと味に影響しますから」。それは、たった1℃の差でも、出来上がりが変わります。

 その後、27℃~30℃を24時間保ち発酵。常温では発酵しないため機械に入れ、温度が高くなりすぎないように、常に目を離さず温度を調整します。

 次はパンの成型。「美味しくなって、良いお客さんに買ってもらうんだよ」と願いながら丁寧に作ります。「パンは、我が子なんです。娘にパンと私とどっちが可愛いの?とよく言われました」と笑う姥さん。趣味でパンを作っていた頃も、コタツの中で発酵させている時にお嬢さんがコタツに入ろうすると、ついつい「酵母ちゃんが入っているから」と言ってしまう。姥さんにとって酵母は、物ではなく大切に育てる我が子と同じなのです。

少し歯応えのある天然酵母の手作りパンが、常時30種類。具も手作りなのが嬉しいところ

 

田舎に住みたいと、北海道に移住

 同店のオープンは平成15年。オーナーの姥さんは山形出身で、鷹栖町に来るまでは東京に住んでいました。  

 もともとパンづくりが大好きで、子育てが一段落した頃からベーカリーショップでパートで働くことに。そこで、天然酵母パンの仕込みから全て覚えました。

 いつか北海道に住みたいと、開業する3年も前から鷹栖町の離農した農家の家を購入していた姥さん夫妻。その時はパン屋をやるなんて考えてもいなかったそう。「主人も田舎育ち。都会暮らしは嫌なので、いずれは北海道に住もうと思っていたんです」。しかし、移住の予定はご主人の定年後。まだ先の話でした。それが、「パン屋をやりたいなら、今やらないとできなくなるぞ」というご主人の勧めで、一足早く北海道に。すでに独立した3人のお子さんたちも「やりたいなら、行ってらっしゃい」と送り出してくれました。「じゃ、先に行くねと言って来ました」。まるで隣町に買物に行くように言う姥さん。信頼で結ばれたご家族の様子が伝わってきます。

 

噛むほどに香ばしい田舎パン

 同店の酵母パンは比較的低価格。少しでもコストを下げるため、また安心して食べられるように、できるだけ手作りにこだわります。クリームパンのクリーム、カレーパンのカレー、かぼちゃパンのかぼちゃあん、ピザパンのトマトソースも近隣の農家から買ったトマトで手作りしています。

 そんな手の込んだパンの中でも、1番のお勧めは田舎パン。田舎パンは道産小麦ハルユタカ100%。小麦の旨みがあふれる、素朴な味わいです。取材中も予約して3個の田舎パンを買っていかれたお客様が「中のほうに粘りがあって美味しい。モチモチとして香りも良い。薄く切ったり、厚く切ったりして楽しんでいます」と人気です。トーストすると、さらに風味やモチモチ感が増します。噛めば噛むほど味わい深く、何もつけなくても美味しいのです。

 「月のうさぎ」では、生地に卵を使っていません。「卵を入れなくても生地はできるので、入れる必要のないものは入れたくないと思っています。それで、卵アレルギーの人に食べてもらえるなら、それにこしたことはありません」。

 また、田舎パンやフランスパンなど、バターを使っていないパンも多く、小麦の香りがより楽しめます。小麦は道産小麦、砂糖はミネラルが豊富な洗双糖を使用しています。

 

「何とかなる」の裏の努力

 「北海道に来ることも、パン屋を始めることも、不安はまったくありませんでした」。しかし以前働いていたベーカリーショップは、たくさんのお客さんが来るスーパーの中。そのイメージが強く、パンは作れば売れるものと思っていた姥さんにとって、現実はそう甘くはありませんでした。まして、店は鷹栖町の中心部からも10kmほど離れたところ。初めは大変でしたが、少しずつクチコミで広がりました。

 「ここに来て良かった」。親戚に北海道に住むことを伝えた時も「寒さも雪も半端じゃないぞ」とおどかされましたが、返事は「うん、大丈夫、何とかなる」。姥さんは、どんなことも「何とかなる、なるようになる」と考えて進んできました。「でもパンづくりだけはいい加減じゃなく、しっかりと数字を守りますよ」と笑顔。今まで何とかなってきたのは、運ではなく、寝る間も惜しんで作る姥さんの一生懸命さの賜物です。

 

  月のうさぎ
 
ページトップへ
かみかわ北部かみかわ中部かみかわ南部