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最終更新日:2018年7月25日(水)


かみかわ「食べものがたり」: いとげん「甘酒・味噌」


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旭川唯一の「こうじ屋」から生まれた天然の甘み
昔から変わらない「甘み」を多くの人に伝えたいと話す伊藤さん(右)と第2工場 いとげん味噌工房の社主 西大條さん
いとげん「甘酒・味噌」 かみかわ中部 旭川市
顧客は全国に1万軒以上

 「かつては、市内にも数店の『こうじ屋』がありましたが、いまでは通年で『こうじ』を作っているのは、うちだけになりました。昔は道北地域にも何店かありましたが、今は、道北地域で冬期間も年間通して製造しているところはないようで、日本でほぼ最北のこうじ屋というところでしょうか」と感慨深げに話すのは、いとげん伊藤元三郎商店の2代目社主・伊藤元夫さん。

 味噌を作るためのこうじを作り、これを上川産あるいは十勝産の大豆とともに個人宅に発送しています。個人客が主体で、父親の代から引き継いだ顧客を含めると、全国で約1万軒。関東圏では、東京23区のほか、埼玉、神奈川がメイン。関西圏では大阪、京都に顧客が多く、東北圏ほか、まさに全国に顧客を持つ、市内の隠れた名店の1つといえます。

画像 甘酒・塩麹・三升漬け いとげんの「スイートコージ(甘酒)」。ほかにも、味噌や激辛なんばんの三升漬もあります

 

たった1人で日本に残された父親

 創業は昭和33年。商店名が示すとおり、父親の元三郎さん(故人)がこの地に開業しました。元三郎さんは大正8年、8人兄弟の四男として、増毛で誕生。当時、日本は不景気の真っ只中にあり、苦しい生活を強いられていたといいます。

 そこで、両親は南米・ブラジルへの移民を決意。大正15年、新天地での豊かな生活を夢見て、両親と兄弟は旅立ちます。しかし、両親は元三郎さんだけを、日本に残していったのです。

 「たぶん、両親は全員がブラジルへ行ってしまうことに、不安を感じていたのではないでしょうか。日本に1人だけは残しておきたかったんでしょうね。でも、親父は知り合いの家に養子に出され、寂しい生活を送ったと聞きます」と伊藤さんは振り返ります。

 そして、学校を終えた元三郎さんは、旭川市内の4条通にあった酢やこうじを製造していた「マルサン瀬古商店」に住み込みで働くことに。祖父が、増毛の清酒会社で杜氏をしていたことから、紹介されたようです。修行を続けて20年以上経った昭和33年、現在地の大町で「こうじ屋」を開業。40歳を過ぎてのことでした。

画像 こうじ作り
こうじ作りの作業風景と、いとげんの看板

 

温度管理の難しさ

 こうじは、まず米を水に浸す作業から始まります。精米度合いを86%程度にした「きらら397」をといで一晩浸水。翌日、これを強い蒸気で一気に蒸し適温まで冷まし、さらに麹菌を散布後、2日目、3日目の複雑な各工程を経て4日ほどで仕上げるのですが、菌の発酵で温度が急上昇するため、冷まさなくてはなりません。ところがあまり冷ましすぎても良くないなど、温度管理が重要な要素だといいます。

 これを1週間に4回ほど行い、こうじを生産しています。冬場は、毎週火曜日に顧客に向け出荷。「こうじは、その日の気温や湿度などによって作り方が変わってくる。何年やっても難しい仕事です」と伊藤さんはいいます。

 

親から子へ受け継がれる甘酒づくり

 こうじが出来上がると、これを評価・試験するために「甘酒」を少しだけ造ります。米とこうじにお湯を加えるだけ。ただ、これも温度管理が大切で、50℃~60℃が適温。温度が低いとこうじが良く働かないため、糖化せず、酸味が増してしまうのだそう。また、あまりに高すぎると風味が消え、ふくよかさや甘みに違いが出てきます。

 この甘酒は母親の町枝さんから教わったもので、こうじは父が造り甘酒は主に町枝さんが仕込んでいたそう。元三郎さんは開業後、兄弟や甥、そして姪などが住むブラジルにたびたび渡航。その時持ち込んだのがこうじで、これを元に甘酒を作って、みんなに振舞ったのです。

 そうすると、明治や大正生まれの人たちが「久しぶりの懐かしい味」と喜んだといいます。伊藤さんも「室町時代の文献に、こうじ売りの図が現存しているんです。道端でこうじの入った箱を広げ、庶民に身近な濁り酒や甘酒の原料として売られていました。その時代から、こうじはほとんど変わっていないということ。昔の甘みを伝えていきたいです」と語ります。

 支店である「味噌工房」では、この甘酒に手を加え「スイートコージ」と名付けて製造・販売に力を入れています。その味わいはもちろんのこと、ユニークなネーミング、ラベルデザインに対する評価も高く、さまざまなメディアからも注目されているそうです。

 大豆とこうじで作る手作り味噌は「熟成味噌『四季』」の名称で商品化されています。1月から3月にかけて仕込まれ、ほぼ1年間かけてじっくりと寝かされます。塩分控えめで大豆の風味が生きており、味にやわらかさと優しさが感じられる味噌に仕上がっています。また、平成23年から「激辛三升漬HOT(ハット)」も発売。原料の醤油、青ナンバンはもちろん地元産、そこへいとげん特製のこうじを加えた、ハッとする辛さ、ホッとする甘みの一品で、全国へじわじわと人気が拡大中です。

 旭川で年間通してこうじを作っているのが同店だけになってしまった今、後継者の育成も課題のひとつです。そんな時、次女の夫である西大條亮さんが跡を継ぎたいと名乗りを上げました。「これまでの仕事とはまったく畑違いの世界。ですがお義父さんの姿を見ているうちに、自分もこうじを扱う職人として仕事をしてみたいと思ったんです」と西大條さん。平成22年から伊藤さんに付いて修行を積み、現在は「味噌工房」の社主としてこうじ作りに励んでいます。

 旭川唯一のこうじ屋の技は、これからも確実に引き継がれていきます。


  いとげん伊藤元三郎商店

 
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