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同じ水田に多くの品種を混ぜ合わせて栽培する理由について話す古屋さん 「種もみの段階から、きらら397やななつぼしなど4つから5つの品種を混ぜ合わせて、稲を育てています。品種が違いますから、育つ稲の草丈にも違いが出ます。でもいろんな品種を植えることで、それぞれが競い合って育つようで、収量も安定しています。農業試験場では、一切やっていませんけどね」と独自の稲作栽培について語るのは古屋農園の古屋勝さん(64)。 古屋さんが「多品種混植栽培」に取り組むことになったのは、本州で15種類以上の品種を混ぜて稲作をしている人がいるという雑誌の記事を見て、興味を持ったからだという。10年ほど前から実際に試したところ、普通の米には出せない新しいおいしさを実感。以来、この多品種米を「古屋スペシャル」と名付け、独自のルートで販売を始めている。 また、古屋さんは、農村と都市との交流をねらいにした旭川グリーンツーリズム推進会議の代表も務め修学旅行生の受け入れなども行っているが、宿泊した生徒からも「おいしい」という声が出るほど好評だ。
古屋さんは東旭川で100年以上も続く農家の4代目。代々稲作を続けており、現在は約14haの農地のうち、約11haで稲作を行っている。 古屋農園では単品種として「おぼろづき」、「ななつぼし」、「ゆめぴりか」、「ゆきひかり」、「あやひめ」も栽培している。農薬の使用量は、農協が推奨するクリーン栽培の3分の1程度に抑える減農薬を心掛けているが、混植栽培ではそれよりも少なくて済むという。 健康食ブームで「赤米」、「黒米」も栽培
また、古屋さんは20年ほど前から、農村と都市間で交流するグリーンツーリズムに積極的に関わっている。きっかけは、減農薬で、自然乾燥の米を作るため東旭川豊田地区の仲間と「豊田はさがけ米の会」を結成したことだった。 木に稲の束を逆さにして吊るし、乾燥させた「はさがけ米」のことが、生協の共同購入で紹介され、古屋さんたちの顔写真入りのチラシが配られた。すると大きな反響があり、まずは田んぼの見学会、そして「はさがけ体験」まで行われるようになった。その時、消費者からは「こんなに米作りが大変だとは知らなかった」との声が寄せられた。 以来、消費者との交流を大事にし、自宅横に加工施設を建設して加工体験の受け入れなどの取り組みを行っている。 紫稲で稲文字が浮き上がった古屋農園の田んぼ
そんな消費者との交流の中で、多品種混植栽培の米を食べてもらったところ、「これまで、こしひかりを食べているが、スペシャルのほうがおいしいといってもらえた」という古屋さん。自分の栽培した米に自信を深めた。 また、古屋さんの米を食べているオホーツクや別海地区の消費者からも「おぼろづきやななつぼしより、スペシャルのほうがおいしい」との声が寄せられた。 古屋さんは「食べるものを作る仕事というのは、ただおいしいというのではなく、消費者から安心してもらえるものでなくてはならない。だから、一生懸命に作る。そして、消費者は誰が作った米なのかということに関心がある。だから、あえて自分の名前を付けた。あの古屋が作ったものであれば、安心して食べられるという信頼関係を築きたい」とも話す。 もちろん、自分が食べてもおいしいと感じていたことから、近郊の米販売店にセールスに出向き「古屋スペシャル」として売り出すことになった。 道道沿いに建てられた「古屋農園」の看板。加工施設の前には「百姓工房 ふるや」の文字
古屋農園では、10数年前から、深川で品種改良された黒米「きたのむらさき」も栽培しているほか、7~8年前からは試験研究機関の知り合いからひとつかみだけもらったという「赤米」も育てている。 黒米は市内の米穀店との委託栽培のため販売ルートは確保されているが、赤米のルートはなかった。赤米は古代米の1種ともいわれ、うるち米の系列だ。ポリフェノールのひとつであるタンニンが豊富に含まれているのが特徴。タンニンには、高血圧を低下させるという効能があるといわれていることから、古屋さんは「健康食品」の位置づけで、売込みを図った。 すると、大手デパートの地下食品売り場で扱ってもらえることになり、販売にも一定のメドが立った。 多くの品種の米を栽培し続ける古屋さん。多品種混植栽培の「古屋スペシャル」は、さらなる食味の向上も期待できる。
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