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最終更新日:2016年3月23日(水)


かみかわ「食べものがたり」: かんだファーム「星空雪見法蓮草」


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名寄の農業活性化に向けて尽力する、代表の神田勇一郎さん。名寄の農業活性化に向けて尽力する、代表の神田勇一郎さん。 

かんだファームかみかわ北部名寄市
 
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 星空と雪を見つめながら、凍てつく寒さに耐えて育つ――そんな意味がこもった名前の付いたほうれん草があります。雪質日本一、もち米作付面積日本一の名寄市の北東、東風連にあるかんだファームで育てられたもの。代表である神田勇一郎さんが名付け親です。収穫期は1月上旬から2月下旬まで。糖度が13度もあり、えぐみのない味わいが特徴で、忠烈布(ちゅうれっぷ)の沢水に育まれた恵みの一つです。

 「平成27年現在は名寄の道の駅をベースに販売しており、札幌や小樽にも扱ってくれるお店ができました。注目していただいていることを実感しています」と神田さん。よく日焼けした精悍な顔立ちとタンクトップ姿がトレードマークの若手農業者です。

★星空雪見法蓮草 
収穫期を迎えたハウス。ふっくらとした葉の厚みがよく分かります。
★星空雪見法蓮草 
収穫期を迎えたハウス。ふっくらとした葉の厚みがよく分かります。
 

 

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 かんだファームは、太平洋戦争時に釧路で旅館業をしていた神田さんの祖父が現在地に就農したことに始まります。当時のこの地は耕作を放棄され荒れ放題、しかも泥地だったため、農業を行うには相当な苦労がありました。そこに先に入植した農家の先輩たちが資材や機械を提供してくれるなど、新参者である神田さんの祖父を大いに助けてくれたといいます。その後、建設会社に勤めていた神田さんの父親とともに長い年月をかけて地道に土地改良を行い、稲作と畑作の専業農家となりました。「かぜのかおりピーマン」として現在の代表農産物ともなっているピーマンは、父親が始めたものだそう。

 3代目の神田さんは幼い頃に農業を志し、農業高校、農業専門学校で学び就農。平成25年から農場代表として、今の時代に合った農業の在り方を模索している最中です。

 「周りの先輩農業者たちがいろんなことを教えてくれます。ハウスの建て方や土地の使い方…。祖父や父親はもちろんですが、長年神田家を支えてくれた皆さんへの感謝の気持ちでいっぱいですね」。

 平成21年に離農する農家の水田を譲り受けたことで、稲作にかける手間がかなり軽減されたのだそう。これをきっかけに、星空雪見法蓮草の栽培を始めました。

「かぜのかおりピーマン」。ハウスに入ったお客様が「ピーマンの香りがする!」と言ったことから名付けたそう。
「かぜのかおりピーマン」ハウスに入ったお客様が「ピーマンの香りがする!」と言ったことから名付けたそう

 

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 星空雪見法蓮草の他にも、神田さんが名付けた作物がたくさんあります。「星空鈴音(すずね)法蓮草」「ユキノメグミアスパラ」「忠烈布 太陽のメロン、蒼星(そうせい)のメロン」「紅霜くるり、美雪紅(みゆあか)くるり」「紫暮色(しぐれいろ)の冬小松菜」。

 少しだけ読み方は特殊ですが、いずれもその作物が育った風景が目に浮かぶような気がしませんか。

 「例えば星空雪見法蓮草は、真冬の凍(しば)れた夜に収穫していた時に思いつきました。ヘッドライトを点けて氷点下のハウスで作業していた時、とっても星がきれいだった。雪明りも美しかった。そんな中で育ったほうれん草なんです。漢字にしたのも、凍れた夜のイメージを出したかった」と神田さん。農作物も命である、そんな思いが感じられる名前ばかり。ちなみに、2人の娘さんと息子さんの名前が入った作物もあるそうですよ。

(左)糖度が6度を超える、中まで赤い越冬ダイコン「美雪紅くるり」。通常のダイコンの糖度の倍以上あるそうです。
(中央)一つひとつ手作業で洗います。 
(右)アントシアニン豊富で、柄に少し粘りとほんのり辛みを感じる「紫暮色の冬小松菜」。
(左)糖度が6度を超える、中まで赤い越冬ダイコン「美雪紅くるり」通常のダイコンの糖度の倍以上あるそうです
(中央)一つひとつ手作業で洗います。
 
(右)アントシアニン豊富で
柄に少し粘りとほんのり辛みを感じる「紫暮色の冬小松菜」。 

 

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 葉物野菜が極端に減る北海道の冬でも、美味しい野菜が収穫できるようにと神田さんが取り組んだのがほうれん草でした。最初はまったく売れずに泣く泣く持ち帰ったこともあったそうですが、今では道の駅から追加注文の電話が毎日鳴るほど人気に。大量生産はできないため、大きなスーパー等への出荷は見送り、道の駅と個人商店を中心に卸しているのが現状です。また、地元名寄のファンからも「なかなか手に入らない」という声が上がっていることを、神田さんは憂いていました。

 そんな神田さんに、仲間ができました。平成27年のシーズンには、名寄市内で星空雪見法蓮草を作る生産者が増え、生産者組合を立ち上げることになったのです。これで生産量のアップやPR活動にも力を入れられるようになると神田さん。「ほうれん草を始めた時からの夢だったんです。『自分も作りたい』と言ってくれる仲間と一緒にやりたかった。楽しみに待ってくれている名寄の皆さんにも食べてもらう機会も増えるはずですよ」。

 地元の農産物を、地元の人が食べられない。

 この現状を打破してファンを増やすことは、地元への誇りにつながると神田さんは考えているのです。

 


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 神田さんの目標は、名寄の農業を活性化させること。そのために、自分が先陣を切って挑戦し、結果を出すことが必要だといいます。「ほうれん草も他の作物も、かんだファームの名前で出し続けるつもりはありません。今は自分が看板になって知名度を上げる段階。だからこそ人の印象に残るネーミングや、インターネットでの情報発信も必要だと思います。おかげで、野菜ソムリエやメディアといったさまざまな分野の方から、アドバイスをいただけるようになりました。また、名寄市も『チャレンジ事業』として補助金を出すなどして若手農業者を応援してくれますから、挑戦するには最高のタイミングかもしれません。本当に良いご縁に恵まれています」。と神田さん。

 東風連に一足遅れて入植した神田家は、これからの名寄農業の新たな道の開拓者として道を作り始めています。


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