「先日、札幌からオロロンラインを通って稚内を経由して、ゴールが美深という人が来てくれました。道北観光の通過点になりがちな美深、その街にできたばかりのこの店を「目的地」にしてくれたってことがめっちゃ嬉しかった。そういう人がもっと増えてくれれば」と表情を緩めます。
「美深は掘れば掘るほどロケーションが良い。それに美深は実は地理的に道北の中心。稚内からも旭川からも車で2時間。日本海までは1時間半。山・森・川が豊かで日常で行ける『秘境』があるんです。観光の拠点になるんじゃないか」と言います。
高橋さんが目指しているのは、観光客と地元客が集い、クラフトビールを通して交流が持てる賑わいの場。見知らぬ者同士が出会いまた来週、また来年と繰り返し訪れ、文化を築いていくこと。
「美深には白樺樹液があって、それを使ったここでしか飲めないビールもあって、諦めの悪い人たちがいて、レストランとして使えるハコもある。最初はある意味奇跡だと思っていたんですが、どんな街にも埋もれているなにかがあるんですよね。それを掘り起こす仕組みやつなぐ人がいれば町おこしはできるんじゃないか」と高橋さん。最北のクラフトビール作りに確かな手応えを感じています。
「美深から旭川へ向かう最終列車が発車するのは午後8時台(2020年現在)。「ここで飲みたい人のために、最終列車の出発時間が遅くなるくらいになればいい」と高橋さんは笑います。
『羊をめぐる冒険』に導かれるように始まった、白樺樹液を使ったクラフトビールをめぐる物語。ビールとともに文化の拠点となることを楽しみにしています。
銀色に輝く仕込み窯を見ながらできたてのクラフトビールを楽しめます
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