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最終更新日:2018年6月24日(日)


大雪ものしり百科:自然編|大雪山の気象:その1


大雪山の気象
 日本では大雪山と富士山の二ヶ所でしか見ることができないものがあります。それは、地面が凍りついたまま融けることのない永久凍土です。大雪山の夏は7月、8月のみで、それも急な天候の変化で霧や強風に覆われる事態も珍しいことではなく、厳しい環境であることに変わりはありません。ですから地表が凍っていないように見えても実は表面のすぐ下の地面は永久凍土となっているのです。
 なぜ大雪山の気象はこれほどに厳しいのか?その理由の一つにシベリアとオホーツク海の方向から吹き下ろしてくる非常に冷たい空気の流れがあります。この二つをシベリア気団、オホーツク海気団といい、その冷たく激しい風は谷や沢を雪で埋め、また、強風は風のあたる峰々にぶつかり積雪を吹き飛ばし岩肌を露出させます。このように厳しい大雪山の気象下では、森林は、標高1,500m程度までしか生育できません。
大雪山の風と気温
 大雪山の1年間の平均気温は-3.8℃程です。世界的に見てこの気温と同じ地域はどのあたりになると思いますか?答えはあの極寒の地で知られるアラスカ中北部なのです。いかに大雪山の気候が厳しいかお分かりいただけたと思います。北海道は温帯気候の北限と亜寒帯気候の南限にあたり、また、内陸性気候をもちながらも頻繁に低気圧が通過し雨をもたらすという特徴をもっています。これは夏と冬、昼と夜の気温の変化が大きいことを示し、気温が夏には+30℃越え、冬は-30℃といった大きな変化があることでも良く分かります。それと、大雪山の気象を語るのに忘れてはいけないものがあります。それは風です。一般的に風速が1m上がると、体感温度は1℃下がると言われています。仮に大雪山の姿見の池の気温が-20で風速が20mだったら体感温度は-40℃ともはや南極点の寒さに近いのです。
風力段階表
風力(階級) 風速(M/秒) 状 況
0 0〜0.2 静穏煙まっすぐ昇る
1 0.3〜1.5 風向は煙がなびくのでわかるが風見に感じない
2 1.6〜3.3 顔に風を感じる、木の葉が動く風見も動き出す
3 3.4〜5.4 木の葉や細い枝がたえず動く、軽い旗が動く
4 5.5〜7.9 砂ぼこりが立ち紙片がまいあがる、小枝が動く
5 8.0〜10.7 葉のあるかん木がゆれはじめる、池や沼の水面に波がしらが立つ
6 10.8〜13.8 大枝が動く、電線が鳴る、傘はさしにくい
7 13.9〜17.1 樹木の全体が動く、風に向かっては歩きにくい
8 17.2〜20.7 小枝が折れる、風に向かっては歩けない
9 20.8〜24.4 人家にわずかに損害がおこる(煙突が倒れ、かわらがはがれる)
10 24.5〜28.4 陸地の内部でめずらしい、樹木が根こそぎになる、人家に大損害がおこる
11 28.5〜32.6 めったにおこらない、広い範囲の被害をともなう
氷河期に大雪山は、サハリンと陸続きになりました
 最終氷期(ヴェルム氷期)と呼ばれる時期の約7万年前から1万年前の期間は、今よりも海面がずっと低いところにありました。今よりも100m以上も海面が低いのですから、現在水深が45mほどの宗谷海峡などは完全に陸地になっていたのです。津軽海峡は水深が145mほどで本州と北海道は陸続きとはならず、海を渡れない生物も多かったため二つの島の間には生物相に違いが生じました。津軽海峡にあるその境界線のことを「ブラキストン線」と呼んでいます。北海道に生息し本州にはいない動物の代表例はヒグマ、エゾナキウサギ、エゾリス、エゾシマリス、エゾクロテン、エゾオコジョなどです。その後、海面が上昇し今の高さになり北海道は四方を海に囲まれるようになりました。北海道内にかつて生息していたマンモスゾウは温暖な気候には耐えられず絶滅してしまいましたが、同様に海を渡ってきた寒い気候を好む生物の中には寒冷な地域で今日も生き延びている種があるのです。特に寒冷な環境である大雪山高山帯では、氷河時代の生き残りとして、エゾナキウサギをはじめとする貴重な動植物が独特の生物相を作り今も命を繋いでいます。
大雪山の周氷河現象
 大雪山は冬になると北西方向から常時吹く強烈な季節風の影響を受け、山頂や稜線に積もった雪は、風により吹き飛ばされてしまいます。このため冷たい風に、さらされた山肌や地面は著しい凍結状態となってしまいますが、その結果、大雪山独特の地形が現れるようになりました。大雪山のような寒冷地で凍結に関連して起こる自然現象を「周氷河現象」と呼び、それによってできた地形を「周氷河地形」といいます。代表的な周氷河地形として、氷河期から数多くの凍結と融解を繰り返し地表の小石・砂などを一定の方向へ集めたり並ばせたりしてできた現象を構造土といいその他にもアースハンモックやパルサ、岩塊流と言われる現象もあります。特に、周氷河現象として有名なのは、永久凍土で、日本では、富士山と大雪山の2箇所しかありません。
構造土(こうぞうど)

氷河期から数多くの凍結と融解(地表が凍結と融解を繰り返す)を繰り返し地表の小石・砂などを一定の方向へ集めたり並ばせたりしてできた現象。礫質多角形土(環状砂礫)、条線砂礫など。
岩塊流(がんかいりゅう)

直径10cm〜1m位の多数の石が斜面を集団で流れ下って起こる現象。全体は舌のような形をしています。末端部分は岩塊流に強く押された元の地面が大きな皺(しわ)のように盛り上がっているのが特徴です。

アースハンモック

直径1〜2m、高さ数10cmほどの地面の盛り上がり。凍結による地面全体の盛り上がり(凍上)と融解による沈下を繰り返した結果形作られます。

大雪山にある万年雪
 万年雪は、その周囲の地形によって呼び名が変わります。急峻な谷にあるものは特に「雪渓(せっけい)」と呼ばれ、万年雪の多い場所を「雪田(せつでん)」と呼びます。万年雪はとけて無くならない雪と思われがちです。しかし、雪の表面は外気や放射によって、底部では地熱によりとけているのです。けれども雪渓や雪田では、吹き溜まりや雪崩のために周辺より雪が厚くたまっているので、夏にとけきらずに、一部は次の降雪まで残ります。これが繰り返されると年を越えて雪が残るので「越年雪渓」とよばれますが、たまに暑い夏や雪の少ない年があると、せっかくたまってきた雪もとけてしまうため、南極の氷のように太古の空気が閉じ込められているといった現象はありません。

 雪渓・雪田などの万年雪は高山植物に水を供給するという重要な役割をもっており、大雪山の特徴ともいえる広大なお花畑を養う貴重な存在でもあります。万年雪が多く残る場所は、植物の生育できる期間は短く、この間に成長し花を咲かせ種を結ばなくてはなりません。このような環境に適応している植物は特殊なものともいえます。特にこれを「雪田植物」と呼んでいます。万年雪は春先の雨の流れた後は表面に縞模様ができ、夏には杓子でえぐったような凹凸ができる特徴があります。大雪山の万年雪は北海沢、白雲平の雪の沢、高根ヶ原の雪渓が特に有名です。

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