かみかわ「食べものがたり」: 石倉畜産「渓谷・味豚」
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(地域)食べものがたりトップページ > かみかわ中部 > 石倉畜産
(ジャンル)食べものがたりトップページ > 肉類・卵 > 石倉畜産
![]() ![]() 大きな視野から養豚業界を見つめる、(有)石倉畜産 取締役農場長の石倉裕晃さん。 ![]()
![]() ![]() ![]() 「けいこく・みとん」と読みます。 みとん、味のある豚。チャーシューのように本当に味が付いているわけではありません。でも、噛むと旨みがぎゅっと出てきます。モチモチとした柔らかな歯ごたえ。甘い脂身。豚肉ってこんなに美味しかったのかと感動します。 この柔らかさは、上川町ならではのエサが生み出しました。そう、「渓谷・味豚」は、渓谷の美しい層雲峡・上川地区の「もち米」を食べていた豚です。 「渓谷・味豚」を生産する石倉畜産は昭和43年、旭川市の旭西地域でそれまでの農業から養豚へ転換。平成8年に現地の上川町へ移転してきました。 「僕が大学に行った後、夏休みに帰ってきたら、いきなり実家が上川に引っ越していた」と農場長の石倉裕晃さん。石倉さんは平成14年に、社長である父親が体調を崩したのをきっかけに、それまでのサラリーマン生活にピリオドを打ち、家業を手伝い始めました。 「町の人にうちの豚肉を食べてもらいたい」。 「渓谷・味豚」はそんな石倉さんの思いが始まりでした。「地元で作った豚肉を地元で売って、町の人たちに上川にも美味しい豚肉があると知ってもらいたい」と、上川中央農協上川支所の方に提案すると、どうせ売るならブランド化しようと話が持ち上がりました。「ブランドにするためには、特徴を持たせなきゃいけない。地産池消の意味でも上川町内にあるものを使おう」。 そこで上川特産のもち米を粉砕して食べさせることを思いつきました。言葉にすると簡単ですが、何を食べさせたらベストなのか、なかなか良い案が浮かばなかったといいます。気付けば、提案から完成まで2年の年月が流れていました。 ![]() 「渓谷・味豚」は食べた瞬間、そのもちもちとした食感に「美味しい!」と言葉が出ます。
![]() ![]() こうして平成20年「渓谷・味豚」として販売を開始しました。味の違いは、しゃぶしゃぶをした時によく判り、一般の豚肉に比べ、余分な汁があまり出てきません。冷凍肉を解凍した際に出るドリップ(赤い肉汁)も少なく、これは餌の栄養バランスが良いからだと石倉さんは考えています。 柔らかいのに歯ごたえもあり、脂身も甘く美味しい「渓谷・味豚」。上川町ではこの自信作の豚肉を支援しようと、町内の各飲食店で、豚肉を使ったメニューを積極的に提供しています。また町内の飲食店や商工会などで「上川町渓谷味豚の会」を結成し、3月10日を味豚の日(3と10)としてキャンペーンを展開、町をあげて応援しています。 「今までのお付き合いがあった皆さんに“宣伝しよう”と言ってもらえたのは、本当にありがたい。周りに支えてもらっています」としみじみと語る石倉さんです。 ![]()
![]() ![]() この上川町のブランド豚「渓谷・味豚」で作ったソーセージも、石倉畜産と上川中央農協上川支所が商品開発。地元の特産肉である「渓谷・味豚」をお土産に買ってもらいやすいようにソーセージに加工。平成22年12月から上川町内のスーパーなどで販売されています。添加物を控えめに、肉本来の味が楽しめます。 町の特産品として町外の人にも知ってもらいたいと、奮闘する町の人たち。石倉さんの「地元の人に知ってもらい、食べてもらいたい」という熱い思いも、地元の人の心をさらに一歩、動かしたのかもしれません。
![]() ![]() 石倉畜産の豚の総頭数は3,300頭。週に平均100~120頭が出荷されます。生まれて出荷されるまでは180日。その間、成長に合わせて5種類のエサを食べます。人間が、ミルクと離乳食から始まり、成長に合わせて食べるものが違うのと同じで、豚もその段階で必要な栄養素が違います。ミルクと人工乳から始まり、少しずつ穀物の量を増やし、最後の2カ月間にもち米を粉砕させ食べさせます。 さらに肉の味に影響しているのが、大雪山系の伏流水。豚が飲む水の量はエサの約3倍。出荷前の豚は、1日に1頭約2.5kgのエサを食べるので、6リットル以上の水を飲むことになります。大量に飲む水にも石倉畜産ではこだわり、大雪山の湧き水に乳酸菌とミネラルを加えています。 「僕らは豚を育てているという感覚だけど、最終的に口に入るものだから、安全なエサや水、衛生面に充分気を付けて健康に育てたいですね。ポリシーなんて言うほどのことはないけれど、ただ“当たり前に”って言うことかなぁ。基本を忘れないこと。何でも仕事って慣れてくると手を抜きたくなるけど、最低限の基本的なことだけは忘れちゃいけないと思っているんです」。ちょっとやんちゃっぽさの残る2代目。ですが、仕事のことを語り始めると、その話は養豚業界をとりまく厳しい情勢から日本の政策にまで及び、熱くなってきます。 「この業界も、考えていたより頭使うなぁと思っています。学生の時に勉強しなかった分、ツケが回ってきた。人生って、ちゃーんとツケがくるもんだなぁ」と笑う目が見つめているのは、“今”ではなく、未来の日本の食事情です。 ![]()
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