かみかわ食べものがたり : 鳥羽農園
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(地域)食べものがたりトップページ > かみかわ南部 > 鳥羽農園
(ジャンル)食べものがたりトップページ > 飲料・酒類 > 鳥羽農園
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![]() ![]() ![]() 大鍋の中で、クツクツと小さな音を立てているミニトマト。焦げ付かないようかき混ぜながら、ゆっくりと火を通していきます。裏ごし、瓶詰め、殺菌もすべて人の手によって行う、完全「手しぼり」のトマトジュースは、道内でもさほど多くはありません。 「トマトは好きだけど、ジュースは苦手という人もいらっしゃいますよね。そういう方は、ドロリとした食感が好きではないということが多いので、できる限りさらっと飲んでいただけるよう、煮詰めたり余計な添加物を加えたりせず、必要最低限の火入れにとどめています」。
![]() ![]() 鳥羽さんが農家として独立したのは、平成18年のこと。約4年の研修期間などを終えてからのことでした。 そもそも、静岡から北海道へ移住したのは「北海道が気に入ったから」という理由だそう。20歳の時、初めて購入したお気に入りのマイカーで北海道へ旅をしに来て、気に入ってしまいそのまま仕事を辞めて居ついてしまいます。 「この仕事をずっとやるのは無理だと思いました。例えば荒れ狂う水の中で人を助けるとか、若いうちしかできないなと。ちょっと人生を考え直したわけ(笑)。そんな時、周りに農家さんが多いことに気付いたんですよね。この土地で食べていけるだけの収入を得るとか、条件などを考えたら、農業しかないと覚悟を決めました」。 鳥羽さんの、新規就農への歩みが始まりました。
![]() ![]() 農業を志した鳥羽さんは、最初の2年間を先輩生産者のもとで過ごします。すでにこの時からミニトマト作りに携わっていたそうです。 「ミニトマトを始めたのは、初期費用が抑えられることも大きな理由です。最初は、どうせ北海道で農業やるなら広い畑にでっかいトラクターで…ってイメージしていたんですけど(笑)、やはり莫大な資金がかかる。その点、施設園芸作物であるトマトは、大きな機械類が必要ないこと、作付け面積もさほど広くなくて良い、価格が安定している、などのメリットがあります」。 就農当初からトマトジュースを作りたいと考えていた鳥羽さん、ようやく現在育てている品種に出合い、ジュース作りへの思いを募らせます。「食べても美味しい品種だから、ジュースにしたって絶対美味しいと思ったんです。酸味と甘みのバランスがとても良く、みずみずしいんですよ」。 とはいえ設備投資にも費用がかさみます。なかなか実現に至らないまま数年が経ってしまいました。
ミニトマトジュースを作り始めたのは、平成24年の秋のことでした。南富良野町の食品加工会社「南富フーズ」の社長に、ジュースを作りたいけれど設備が整わない、と何気なく話したところ「当社の加工場は夏場は使っていない。自分の工場だと思って好きに使ったらいい」と、なんと場所を貸してくれたのです。 すでに季節は夏、トマトの収穫は始まっています。急ピッチで手続きや資材集めを進め、1カ月ほどで製造開始にこぎつけました。 「どれくらい火を入れるかという工程の問題だけ。トマト自体の質が良いものなので、無理に煮詰めて甘みを出すなど、余計な手を加えなくてもいいと。液体になるだけでも美味しいものになると考えていた」と鳥羽さん。その年は9月中旬から販売を始め、あっという間に完売しました。 トマトの味は、収穫時期や気候によって変わります。最初は、商品なのに味が変わることに抵抗があったそうですが、「旬のものを使うってそういうこと」だと実感。今では、収穫時期と味わいの違いを書いた手紙を添えて、全国へ発送しています。
鳥羽さんは、年間2000~3000本のジュースを製造する計画でミニトマトを生産しています。生食用でも若干は販売しますが、あくまでジュース製造用に作っているもの。農業をしながら、加工品づくりも自分の手で行うためには、製造量の緻密な計算も欠かせません。 新商品開発にも意欲的で、セミドライトマトを使ったおつまみや、スープの素など、商品アイデアはいくつもあるそう。 「例えば、ジューススタンドみたいなものもやってみたい。生産者でもあり、お客さんに見えるところでジュースを絞って提供する。面白いと思いませんか?とはいえ、ハードルはとても高い。農産物という生き物相手でもありますし、焦らず気長にやっていこうと思います」。 真っ赤なトマトの詰まった鍋を見つめながら、次の夢を語る鳥羽さんです。
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