大雪ものしり百科:自然編|大雪山の生物:植物


大雪ものしり百科:自然編|大雪山の生物:植物


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大雪山と植物の概要
 大雪山に生きる植物は、はるか昔、氷河期の時代、海水面の低下が原因で北海道・サハリン・シベリア大陸が陸続きになっていた時代に、シベリア大陸の気温が低い地方に生育していた植物達が大陸を渡り、この北海道にたどり着き、その後の温暖化(間氷期)によって、気温の低い土地を求めて大雪山にたどり着いたと考えられています。

  進入経路は、1.東シベリアよりサハリンを経由し北側から、2.カムチャッカ〜千島列島を経由して北東部から、3.本州経由の南側からの3つのルートが考えられています。そして、大雪山では、それらのルートが交錯しているのです。もし、氷河期が無かったら。現在、大雪山の厳しい環境に生きる植物は存在しなかったかも知れません。大雪山の高山帯で現在、確認されている植物の種類は360種以上にもなります。この中で、本来の高山植物は307種といわれています。
大雪山の山頂現象
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 大雪山における植生の変化は、標高による変化だけではありません。 同じ標高にある場所でも、風の当たる場所や、雪の積もる場所などの様々な条件の違いにより、それぞれ生育する植物が違ってきます。 このような植生分布の極端な違いを山頂現象と言います。以下では、各環境や地形による高山植物の植生分布を紹介していきます。
高山風衝地に生育する高山植物
005.jpg  高山帯の中でも、特に風上側で強い風に常に晒されている地帯を高山風衝地といいます。強風の影響で、全体的に植物の生育量が少なく露出した地面の面積が多い場所で、冬期でも雪はほとんど積もることはありません。地表の下では永久凍土が発達し、緩斜面でも砂礫が移動しやすい状況になっていて、植物が根を張るには不安定な状態となっています。見られる植物は主にコマクサ、コメバツガザクラ、ウラシマツツジ、ミネズオウ群落、エゾオヤマノエンドウ群落など、厳しい強風や寒さに耐えられることができる植物に限られます。

観察場所 コマクサ平・小泉岳・北海岳・緑岳
ハイマツ群落に生育する高山植物
006.jpg  風の当たらない山の裏斜面などでよく見られる背の低い松が集まった地帯をハイマツ群落といます。 ハイマツは積雪の保温作用により、厳しい冬の期間を乗り切ることができますが、逆に積雪量が多すぎても、夏に成長することができません(このような場所を雪田といいます)。 また、ハイマツの背丈は積雪深に影響を受け、群落の中でも積雪の少ない風上側の斜面ではハイマツの背が低くなり、積雪の多い下部ではハイマツの背は高くなっていきます。このような場所では、主にハイマツ、コケモモ群落、ウラジロナナカマド群落などの植物を見ることができます。

観察場所 雲ノ平斜面・高根ヶ原・緑岳南側斜面・コマクサ平・小泉岳・北海岳・緑岳
雪田植生の高山植物
007.jpg  雪田植生とは、風下側の東斜面やくぼ地などの場所で積雪量が非常に多く、夏期の遅くまで雪が残る場所を指します。こういった場所では、チングルマやエゾノツガザクラなどの小低木やエゾコザクラなどの草類が広域にわたり生育します。こういった植生群落は、万年雪として雪が残る箇所以外で、雪が無い状態の期間が短く、植物達は、その間に成長から開花〜繁殖を終わらせなければなりません。そのような厳しい環境のため、雪田の領域では限られた種類の植物しか生育できません。

観察場所 裾合平・雲ノ平・赤岳東側斜面など
雪潤草原群に生育する高山植物
008.jpg  雪田植生群落に比べ、融雪が比較的早い(夏季頃)地域に発生します。主にミヤマキンポウゲ群落、エゾノハクサンイチゲ群落、チシマノキンバイソウ群落などによる高茎草本類のお花畑で、急斜面で雪崩が発生しやすい場所に群落が作られますが、五色ヶ原や黄金ヶ原などの平坦な場所にも広大な群落を作ります。

観察場所 黒岳九合目など
湿原に生育する植物
001.jpg 大雪山には、沼の原、沼の平、天女ヶ原などの溶岩台地上で発達した高層湿原があります。高層湿原とは、高山にある湿原という意味ではなく、地下水位より低い湿原面を持つ場合は低層湿原、高ければ高層湿原、両者の中間であれば中間湿原といいます。低層湿原には、ミズバショウ、エゾノリュウキンカなどの水生植物が生育し、中間湿原には、ヌマガヤやエゾイソツツジなどが生育しています。高層湿原は、雨水や霧などによって潤されているため栄養分が極端に少なく酸性度も高いので、ミズゴケ、ウメバチソウ、ワタスゲ、モウセンゴケなど限られた植物のみが生育できる湿原です。なお、大雪山系の多くの湿原は高層湿原に分類されます。

観察場所 沼の原、沼の平、天女ヶ原など

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