北海道を代表する山として大雪山という名称で親しまれていますが、実は大雪山という名称をもつ山はどこにもありません。北海道の中央高地を形づくる山々の集まりを総称して大雪山と呼んでいます。アイヌの人々は、石狩川源流域にそびえ立つ大雪山の山々を古くから「ヌタプカウシュッペ(川が曲がりくねった場所にいつもいるもの(神))」あるいは「カムイミンタラ(神々の遊ぶ庭)」と神聖な表現で呼んでいました。
「神々が遊ぶ庭」はとても広大で、中央部には直径約2kmのお鉢平カルデラ(旧爆裂火口の凹地)があり、それを囲むように北海道の主峰・旭岳(2,291m)、北鎮岳(2,244m)、白雲岳(2,230m)、黒岳(1,984m)などがあります。南部は高根ヶ原から始まり、忠別岳(1,962.8m)、化雲岳(1,954.3m)を経て、トムラウシ山(2,141m)、美瑛岳(2,052.2m)、十勝岳(2,077m)など標高2,000m前後の山々が50km以上にわたって連なり、東部は日高系の古生層からなる非火山性の石狩山群や、大雪山で唯一の自然湖、然別湖があります。この自然豊かで広大な大雪山は昭和9年(1934年)に、わが国最大の国立公園に指定され、その総面積は約23万ヘクタールと神奈川県とほぼ同じ広さです。これだけ大雪山が広いわけですから通常は、北大雪(ニセイカウシュッペ山、平山、武利岳等)、表大雪(旭岳、お鉢平周辺の山々、トムラウシ山等)、東大雪(石狩連峰、ニペソツ山、ウペペサンケ山、然別湖等)、十勝岳連峰(オプタテシケ山、十勝岳、富良野岳等)の4つの山域にわけて呼び、大雪山全体を一括して大雪山系、または大雪山連峰と呼びます。 |