食肉衛生検査所の業務について
業務紹介
生産者からと畜場に運ばれてきた家畜は、と畜場法に基づいて獣医師の資格を持った検査員が、法律に基づき食肉になるまでの処理工程において一頭ごとに病気(家畜伝染病、人と動物の共通感染症等)や異常がないかを調べ、食肉として良いかどうかの検査を行います。
この検査に合格したものが食肉として流通し、食卓へ届けられます。対象家畜は、牛、馬、豚、めん羊、山羊の5種類です。当所が所管すると畜場では豚のみの処理がおこなわれています。
検査では、主に望診、触診、検査刀を使用した切開検査など肉眼検査が主体ですが、必要に応じて試験検査室で、更に詳しい検査を実施し、それらの結果と肉眼検査結果などと総合して、食肉にして良いかどうかを判断します。
精密検査には、細菌学的検査*1(遺伝子検査含む)、病理学的検査*2、理化学的検査*3があり、様々な検査用の機器、器具、試薬などを使用して検査をします。精密検査をおこなっている間の当該家畜の枝肉、内臓、頭部などは、専用の保留用冷蔵庫で保管され、食肉として流通することはありません。
*1 細菌感染による病気が疑われるものについて、内臓(心臓、肺、肝臓、腎臓、
脾臓など)、筋肉、リンパ節などから細菌を培養し、必要に応じ遺伝子の分
析などをおこない原因となった細菌を調べる検査。
*2 腫瘍、寄生虫病、炎症などが疑われるものについて、内臓、筋肉、リンパ節
などの組織や細胞の状態について調べるため、標本を作り顕微鏡で観察し、
診断する検査。
*3 内臓、筋肉、血液、尿などから分析機器などを使用して、血中代謝産物の
異常による疾病(黄疸や尿毒症など)や動物用医薬品などの残留がないか
どうかを測定する検査。
検査に合格した枝肉には、家畜をと殺・解体した都道府県(市)・と畜場が分かる番号が入った検印が押されます。
処理工程と検査の流れ
処理工程 |
検査の流れ |
係留 生体で搬入された豚を係留所に収容します。 生体洗浄 係留所内で、生体の汚れをシャワーなどで洗浄します 。 |
生体検査 生きている状態で、1頭ごとに発育状態、皮膚の状態、歩行などを診て病気の有無や異常などを調べ、必要に応じて触診、聴診、体温測定、血液検査、精密検査などをおこないます。 病気にかかっていたり、異常がある場合は、と殺禁止、又は状況に応じて病畜と室*4での処理指示がおこなわれます。 と殺禁止の場合は、生産者へ戻され病気の治療などが行われます。 病気や異常のないものはと殺が許可されます。 |
と殺・放血 生体検査に合格した豚を電気で失神させ、心臓付近の動脈を切断します。 |
解体前検査 と殺後に血液の状態を肉眼で調べ、必要に応じて血液検査、精密検査を行います。病気にかかっていたり、異常がある場合は、状況に応じて解体禁止になり、食肉になることはありません。 病気や異常のないものは解体処理されます。 |
解体処理 頭部や足の切除、内臓摘出、剝皮、背割などの処理をおこない、 頭、内臓、枝肉、肢端部、皮などに分けられます。 |
解体後検査 解体後検査には内臓・頭部・枝肉検査があり、1頭ごとに触診、検査刀を用いた切開などの肉眼検査で病気や異常がないかを調べます。必要に応じて判断を保留し精密検査をおこない、これらの所見を総合し食肉としてよいかを判定します。 病気や異常が一部に限られている場合は一部廃棄*5となり、病気や異常が全身に及んでいる場合は全部廃棄*6となります。廃棄されたものは食肉になることはありません。 |
冷蔵保管、出荷 施設内の冷蔵庫に10℃以下で、衛生的に保管、冷却され食肉として流通します。 |
検印 病気や異常のないものは合格となり枝肉*7に検印が押されます。 |
*4病畜と室
病畜と室とは、食用の目的でと畜場に搬入された家畜が、生体検査で病気や
異常が疑われる場合や、病気や怪我をした家畜が搬入された場合に、健康な
家畜とは区別してと殺、解体処理及びと畜検査をおこなう施設のこと。
食肉検査の方法は健康な家畜を処理する施設(一般と室といいます)で行わ
れている生体検査、解体前検査、解体後検査と同じです。
このように、と畜場には、健康な家畜をと殺・解体処理する一般と室と病気
が疑われたり怪我をした家畜をと殺・解体処理する病畜と室があります。
*5一部廃棄
と畜検査において、病気及び異常が一部に限局している場合に、その限局し
ている部分だけを廃棄することをいいます。
*6全部廃棄
と畜検査において、病気及び異常が全身に及んでいると判断される場合は、
枝肉、内 臓、頭、皮など全部を廃棄することをいいます。
例えば、敗血症、尿毒症などは全部廃棄となります。
*7枝肉
枝肉とは、家畜をと殺した後に頭、内臓、足、皮などを取り除いたものを
いい、通常は、背割(背割機という機械で、背骨に沿って2等分にするこ
と)されています。
枝肉の状態で、と畜場から食肉処理施設(当所が所管していると畜場にも
併設されています)へ出荷されます。
電話番号:0167-45-3066
FAX番号:0167-45-3188
メールアドレス:furano.shokkenn@pref.hokkaido.lg.jp