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「プチ・トマト」の皆さん。4人で始めて、あっという間に14年。家族に負担をかけないよう、長く細く。
昭和55年にそばの作付面積日本一となってから、現在もそばの作付け面積・生産量ともに日本一を誇る幌加内町。幌加内そばは、今では全国ブランドとして知られています。
7月になると、一面真っ白な花が風に揺れる幌加内町のそば畑。その可憐な花が収穫され、美味しいそばになる9月、幌加内町では毎年「新そば祭り」が開催されます。平成6年から始まって以来、例年2日間で3万人を超すそばファンが道内外から集まりにぎわいます。
幌加内町は人口1,600人前後の、北海道で一番人口の少ない「町」。そこに人口の10数倍の人が集まる「新そば祭り」は、町をあげての一大イベントです。回を重ねるごとに内容も充実し、今では町民全体が関わる町おこしの祭典になっています。
そんな町おこしの一端を担ってきたのが、農家の主婦4人で作るグループ「プチ・トマト」です。
★「そばまんじゅう」(3個入)200円 (6個入)300円 (8個入)500円(各税込)こしあん、つぶあんの2種類。
そば粉は幌加内産100パーセント。50個以上から、要望に応じて作ってくれます。
「プチ・トマト」は平成11年に代表の黒田冬子さんの呼びかけで集まりました。「みんなで、そば祭りに参加しよう!」黒田さんの声に集まった山本利津子さん、近藤寿美子さん、そしてグループ内で連絡係を担当する中村立子さん。皆さん、同じ年頃のお子さんがいる仲間同士。子育ても助け合い、共通する趣味もお菓子作りでした。
祭りが始まった当初はお手伝いとして参加していた皆さんですが、本職の方たちの間で、なかなか自分たちの居場所が見つけられませんでした。「もっと、お祭りに参加したい。それなら、皆がやっていないことをやろう!」その思いは一致。そばではなく、得意のお菓子で出店することになりました。
4人が最終的に選んだお菓子は、慣れている洋菓子ではなく和菓子の「そばまんじゅう」。実は、1年目は様々な洋菓子で参加したものの、結果は売れ残り。「そばに関するものじゃないと売れないんです。お客さんは、幌加内のそばを求めてきているから」とメンバー。
次の年には、そばを使ったお菓子を出すために、様々なお菓子作りに挑戦。そば粉を入れたチーズケーキ、そば粉のマドレーヌ、そば粉のパウンドケーキ。どれもそばの香りがしなかったり、そばの香りと合わなかったり、「やめたほうが良いと、子どもたちにも言われた味」に。そんな中で、新たに挑戦したのが「そばまんじゅう」でした。 しかし、どのメンバーも饅頭を作った経験はなく、何をするにも手探り状態。それでも、お祭りに来る来場者が求めているそばのお菓子にこだわり続けました。
「饅頭は大変でした。水と砂糖が生地に入っているので、どうしても柔らかくなってしまう。丸める時も手に付くし、どこまで打ち粉を混ぜたら良いのかも分からない。柔らかい生地のまま蒸すと、釣鐘みたいな状態になってしまう」と中村さん。その加減を見つけるためには、とにかく数多く作ってみるしかありません。
生地の大きさも、どの程度が最適なのか分からず、大・中・小と色々な大きさで試作。そこで辿り着いた大きさが、親指大。これ以上大きくなると生地が垂れ下がり、薄いと穴だらけになってしまうのです。
そば生産者でもあるメンバーは、「そば作りより、饅頭の方が大変でした」と苦笑い。メンバーは、農業や主婦のかたわら活動を続けているので、集まれるのも月1~2回ほど。1つ1つの疑問を、実際に作りながら答えを見つける作業を繰り返し、納得の「そばまんじゅう」ができるまでには、半年ほどの月日がかかりました。
「そばまんじゅう」の配分はそば粉6割、小麦粉を4割。そば粉は、もちろん幌加内産。幌加内町農協蕎麦部会が作るそば粉を使用しています。
「新そば祭り」の時には、1日で8個入パック100個が完売。さらに皮が破れたりのハネ品を、その場で揚げた「揚げそばまんじゅう」もすぐに売り切れる人気商品になりました。「対面で売るのが楽しいですね。去年も買って美味しかったからと、また来られる方がいて、本当に嬉しいです」と黒田さん。
実は、現在の幌加内町には残念なことに製菓店がありません。製菓店がない、その穴を埋めるようにメンバーの作る手作りのお菓子は、今ではすっかり「新そば祭り」を盛り上げる欠かせないお菓子です。
ふわっと、蕎麦の風味が程よい甘さのあんを包む「そばまんじゅう」。
「饅頭作りも、たくさん作っていくうちに、手が慣れてきました」と、あんを丸める人、生地を丸める人など手際よく分担作業。
幌加内町の施設を利用して作っています。
現在、販売は残念ながらイベントの時だけですが、50個以上であれば注文販売もしています。お寺から法事などで注文を受けることも。幌加内町でも有名な蕎麦店「八右ヱ門」の「揚げそばまんじゅう」も、メンバーが作った「そばまんじゅう」を利用しています。「八右ヱ門さんのお饅頭は、そばの香りをもっと出してほしいということで、そば粉7割で作っています」と、お客様の要望に応えます。
「せっかくそばの町と言われるのだから、そばに関わることをしていきたい。そばを生産するだけではなく、加工としても携わり、付加価値をつけたい」それはメンバーが考える、地元に還元できることでもあります。
「今年のおそばは、特に美味しくできましたよ」。それぞれがそば生産者でもあるメンバー、生産者として、またそばの町に住む1人として、しっかり「幌加内そば」の宣伝も忘れません。
プチ・トマト 雨竜郡幌加内町雨煙内 |