稲穂の会 屯田の里『屯田こうじ』

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「続けていくことは難しいけれど、何より大切だよね」と代表の目黒芳子さん。

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 国道40号沿いにある工房「屯田の里」。扉を開けてまず目に飛び込んでくるのは、作業台の上で真っ白な布にくるまれた白いかたまり。目黒さんが丹精込めて作り上げる「こうじ」でした。

 「この工房で製造しているのは、もともと私が自宅で作っていたもの。屯田兵の時代から続く昔の人の料理の知恵を、今の人たちにも味わってもらいたくて続けています」。

 現在は3人でこうじ、豆腐、味噌、漬け物を作り、旭川市内の各所に日替わりで納品。この工房でも直接購入でき、長年通っている常連さんも多いそうです。

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★(左)「屯田こうじ」 500g 480円、950g 950円、(右)「屯田味噌」 950g 800円 (各税込)
漬物や豆腐もあります。

 

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 平成4年、永山地区の農家の奥さんなどが集まって、醤油と味噌を製造する「稲穂の会」が結成されました。きっかけは、「添加物なしの本物を」と願う、体の弱い友人の期待に応えるためだったそう。それぞれの畑で育てた農産物の直売所として始まったのだとか。しかし高齢化で仲間が減るなどしたため「屯田の里」に名称変更し、目黒さん一人で製造を続けてきました。かつては前述のこうじや味噌のほかに醤油も作っていました。「目黒さんの醤油を食べたら他の醤油は食べられない」というファンも多かったといいます。

 しかし醤油作りはあまりに重労働。発酵させる時期は心配で、容器と一緒に寝たこともあるほど。目黒さんも自身の体力と相談し、現在は製造をやめています。ですがそれは、「屯田の里」の商品を愛してくれるお客様の期待を裏切らないため。「大量に作ることはできないけれど、質を落とさず、できるだけ長くお届けしていきたいですから」と目黒さんは語ります。 今でも、豆腐は1回に100丁、漬け物は100パック。味噌は4斗樽50本分を仕込みます。目黒さんのもの作りに対する意欲は尽きることがありません。

 

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 こうじの原料であるお米は、息子さんの農場から仕入れています。家族が作った信頼できる米を洗い、12時間浸水させます。1時間かけて水切りしてから蒸かし、人肌程度に冷まします。ここでようやくこうじ菌を投入。2度ほど返しながら寝かせますが、この間も36℃に保たなくてはなりません。「今でも心配で、やっぱり夜も見に来ちゃうんだわ」と目黒さんは笑いますが、まさに寝る間もなく付きっきりで育てるのです。その苦労は想像以上のものでしょう。これを5~6時間おいて攪拌し、2日ほどかかってようやく袋詰めできるように。

 「私は、自分のやり方でずっと作ってきているだけですが、このこうじを使って造ったお味噌などは食べた人からは『甘くて美味しい』と言ってもらえます。時々、『こんなに甘いなんておかしい、添加物を入れているんだろう』というクレームのような意見もあるんですよ(笑)。ですが正真正銘、米だけで作ったこうじを使っていますから、安心して召し上がってください」と目黒さん。

 真っ白なこうじのかたまりからは、ふんわりと甘い香りが漂います。このこうじが他の製品にも使われており、まさに屯田の里の味を決める 「キモ」なのです。

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輝くような白さが美しいこうじ。
 

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 平成26年、目黒さんにも後継者が誕生しました。それは現在製造に携わる一人でもあり、料理上手で知られた娘さんです。「こだわりの強い子で、私よりずっと早くに起きて一人で作業を始めています。手伝おうとすると、『自分でできるようになりたいから、手を出さずに見ていてちょうだい』って怒られちゃう。私よりも厳しいと思いますよ(笑)」と話す目黒さんの顔には微笑みが浮かんでいます。もう一人のメンバーも、豆腐作りの腕をめきめきと上げているそう。

 「跡を継いでくれると聞いてホッとしました(笑)。娘はもちろん、主人も手伝ってくれる時期もありましたから、私一人ではやって来られなかったと今になって思いますね。形を変えながらも私が続けてきたこの屯田の里を、娘が中心になって引き継いでくれたら何よりうれしいです」。

 味見にと出していただいた漬け物は、程よい酸味と素朴な甘みと野菜の歯ごたえがしっかり感じられるものでした。ご飯のおともにもお茶請けにもきっと合うはず。この味を愛するお客様が通うのも納得できます。

 目黒さんが家族のために作っていたこの味は、家族の手によって伝え続けられることでしょう。

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稲穂の会 屯田の里

旭川市永山町15丁目98
電話・FAX/0166-48-1378
https://r.goope.jp/inaho1378

 

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