(地域)食べものがたりトップページ > かみかわ南部 > パティスリー メルシー
(ジャンル)食べものがたりトップページ > スイーツ・パン > パティスリー メルシー
オーナーシェフの赤川貴則さん。ご実家も洋菓子、パンを手がける上富良野で人気のお店です。
上富良野町と美瑛町の境目にある深山峠。その坂道の途中にパティスリーメルシーがあります。
赤川さんが作るケーキは、上富良野産の小麦「きたほなみ」をベースに、その時期に地元で採れる旬の果物などを使ったもの。できるだけ地元産の素材を取り入れるよう心がけているのだそう。
一番人気は、定番のいちごのロールケーキ。ギュッと目の詰まったスポンジは、実に食べごたえがあります。小麦の風味が感じられ、もっちりとした食感が特徴。それでいて甘さ控えめなのが、人気の秘密かもしれません。他にも、デコレーションケーキにプリン、シュークリーム、焼き菓子など、何度訪れても楽しめるお菓子がたくさん並んでいます。
★いちごロール 350円(税込) 。上富良野産小麦「きたほなみ」を使ったロールケーキ。
小麦と卵の風味がしっかりと感じられます。コーヒー150円など、イートインも可能。
メルシーで使っている小麦は、上富良野の農業生産法人「興農社」が育てているきたほなみ。もとより道産小麦を使うことは決めていたので、赤川さんはさまざまな小麦で試作をしました。味わいや調理途中の状態などを総合的に判断したところ、きたほなみが最も自分のケーキに合うと分かったといいます。ロールケーキやシフォンケーキといった、スポンジのタイプが異なるケーキにも対応でき、焼き菓子にも向いているという汎用性が良かったのだそう。
また、独立の準備期間中には、中富良野のイチゴ生産者のもとで1年間アルバイトをした赤川さん。「素材のことをよく知らなかったから」という理由です。この時の生産者のイチゴは、今、赤川さんのケーキの一部になって店頭に並んでいます。
赤川さんが、できるだけ地元の素材を使うのには理由があります。
「農家さんはほとんど自分で加工をしませんよね。せっかく良いものを作っておられるのに、情報発信がストップしてしまうわけでしょう。それなら、僕のお菓子で故郷の農産物の素晴らしさを伝えられるんじゃないかと思って」。
こうした思いを直接伝えて、共感してもらえた生産者の農産物を活かし、赤川さんのケーキが出来上がります。
また、直接仕入れができる関係作りをすることは、生産者にもメリットがあると赤川さん。例えば、少し小さいイチゴでもソースなどに加工したり、市場に出回らない珍しい品種を試したりと、お互いの事情が分かっている仲間だからこそできることがたくさんあるのです。
焼き菓子のギフトセットは手土産にぴったり。ばら売りもしているので、ちょっと小腹が空いたときのおやつにどうぞ。
メルシーのカフェスペースからは、十勝岳連峰や上富良野、中富良野の町並みを一望できるほか、季節によっては満開の桜が楽しめます。
「この建物は、かつては旅人を癒す食堂でした。窓から外を覗いた時、美しい景色が目に入って…。これと僕のケーキで、また人々を癒す場所にしたいと思ったんです」と赤川さん。
お客さんの多くは、地元上富良野の方。赤川さんが子どもの頃から知っている方も多く、叱咤激励に来てくれることもあるのだそうです。
また、峠の途中という立地もあって、旭川へ向かう人が手土産に購入していくことも多いといいます。
「オープンから3年経って、ようやく自分の土台がしっかりしたと感じています。故郷である上富良野近郊の皆さんが応援してくださったからこそ。これからは本格的なフランス菓子など、もっと表情豊かなお菓子を作って、皆さんを楽しませていきたいと思います」。
地元の応援を受け、峠のケーキ屋さんは次のステージへ歩み始めました。
パティスリー メルシー 空知郡上富良野町西6線北31号5922 |