高橋農園『地域の彩り野菜・ハーブ』

TOP.png
代表の高橋希さん(高は「はしごだか」)。20棟のハウスと露地物の野菜やハーブについて、楽しそうに説明してくれました。

subtitle1.png

 「これが『プチぷよ』というトマトです。黒い点々があるものがより美味しいんだそうです」と、真っ赤に熟れたミニトマトを差し出すのは、旭川の隣町・当麻町で代々農業を営む高橋農園5代目にあたる、高橋希さん。農家として、旭川や道北の食文化をレベルアップさせたいと考え、さまざまな挑戦を続ける若手生産者です。

 高橋農園では、稲作の他、約80品目の野菜と30品目ほどのハーブを作っています。平成27年のシーズンからは、旭川市東光に直売所もオープン。6月~10月頃の営業で、色とりどりの珍しい野菜の販売だけでなく、旭川市内のレストランなどと協力して、料理の試食やレシピの紹介なども行っています。

171_takahashinouen-img1.jpg
(左)「プチぷよ」。つまむとつぶれてしまいそうな柔らかさと弾力が特徴の甘いミニトマト。
(右)ほか、高橋農園の野菜たち。

 

subtitle2.png

 明治38年に誕生した高橋農園は、稲作のみの農家でした。まだまだ現役で畑に立つ高橋さんのご両親が、稲作の機械化が進んで余裕ができたことから、ハウス野菜の栽培を始めました。当時はどの生産者も同じように野菜作りに取り組んだため、価格の変動が大きく苦労があったといいます。

 その波の中で安定した利益を得るために、ご両親はインターネットでの直販を始めました。中玉トマトのシシリアンルージュ、パプリカ、トウキビ(トウモロコシ)、カボチャなど、今では一般的になった品種が出始めた頃でした。
 しかし、インターネットも普及し始めたばかりで通販も一般的ではなく、珍しい野菜の食べ方も知られていなかったためか、軌道に乗せられないまま3年程が経過。やむなくネット販売を中止します。

 そんな両親の苦労を目の当たりにしていた高橋さんは、農園を継ぐつもりはなく、建築関係の勉強をしていました。

 「旭川を中心としたこの地域を活気づけたいという思いはずっと持っていました。でもある時、それって農業、食の文化を支えることも同義だと気付いたんです。どうして建築から農業に?とよく聞かれますが、僕の中では目的は同じ。手段が違うだけです」。

 こうして、平成22年に高橋さんは農園を継ぎ、代表として駆け回ることとなりました。

 

subtitle3.png

 代表となった高橋さんは、農業を本格的に学びながら、農協青年部に入って当麻町の農業の現状を把握することに。稲作においては、共同で農業機械を購入し一斉に刈り取ることで効率化・コスト削減の方策が成立していました。

 「じゃあ野菜は独自で販売し、高橋農園ブランドとして売っていこうと決めたんです。そのためにも、北国でしか作れない野菜などを作って差別化を図ろうと。その後はとんとん拍子に進みました」と高橋さん。

 当時、プライベートで付き合いのあった方が重要なキーマンとなってくれたといいます。その方が経営する乗馬施設から、堆肥にする馬ふんを購入することができただけでなく、建設中だったレストランのシェフとの出会いに繋がったのです。
 それが、イタリアンレストラン「ビランチャ」のオーナーシェフ、鈴木一徳さんでした。

 「家庭用で作っていたシシリアンルージュを、試しに使っていただいたら、素晴らしいと言っていただけて…。それからはうちのを使ってもらっています」。
 鈴木シェフとの繋がりはそれだけでは終わりません。

 旭川市東光にオープンした「ヌーベル直売所」も、彼の「高橋くんと野菜売りたいなあ」という一言から始まったのだそう。

 建築の経験を活かし、友人の大工に協力を仰ぎ、あっという間に直売所の小屋が建ちました。資材は親戚の家の廃材を使い、看板なども手作り。
 平成27年6月にオープンした直売所は、一般のお客様はもちろん、企業やレストランなど、「食に関してアンテナを張っている人」の目に確実に留まりました。運営するために必要な人数や経費など、販売以上に多くの学びを得られると高橋さんは言います。

 「これまで手探りで取り引きをしていた事業者さんに対して、『5代目高橋農園としてのスタンス』を示すことができたと思います。さまざまな業界の人たちと、フラットな立場で向かい合う自信になりました」。

 高橋さんは、自分にとっての「直売」の持つ意味を新たにしたのです。

171_takahashinouen-img2.jpg
平成30年から「ヌーベル野菜直売所」はイオンモール旭川駅前1階「きたキッチン旭川」で開設されています。(期間限定)
新鮮で珍しい様々な野菜が並ぶ、お買い物が楽しくなる直売所です。

 

subtitle4.png

 旭川という地は品質の高い食材の宝庫であり、このエリアの食に魅せられた、志の高い料理人が実は何人もいます。しかし、一般的に食文化として定着しているかというと、そうとは言い切れません。

 「農業など一次産業、料理そのもの、サービスのレベルなど、さまざまな分野が絡み合って食文化というのは成り立つと思います。これらを持続可能なサイクルに持っていきたい。外から旭川に来てくれる観光客はもちろんですが、まずは旭川と近郊の住民にどのように示すべきかを考えている人に出会うことができました。経験が浅いから、としり込みすることもありますが、しがらみの少ない今の自分だから動けることがある」と高橋さん。

 「旭川の食」を洗練された文化として全国へ知らしめていきたい。
 若い農業経営者と、旭川の「食の職人」たちの挑戦はまだ始まったばかりです。

 

高橋農園

上川郡当麻町字園別2区
電話/0166-84-4203
https://www.takahashi-nouen-nv.jp/

★平成29年12月掲載

 

 

 

 

02発信中4.png
03フードツーバナー2.png04facebookバナー2.png05インスタバナー1.png

カテゴリー

商工労働観光課のカテゴリ

お問い合わせ

上川総合振興局産業振興部商工労働観光課食・観光戦略室

〒079-8610旭川市永山6条19丁目1-1 上川合同庁舎

電話:
0166-46-5320
Fax:
0166-46-5208
cc-by

page top