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種まきを待つニンニク畑の前で談笑する「Nishio Farm」代表の西尾菜緒さん(左)と、夫の淳さん。
2012年の就農開始以来、「おいしいものを、よりおいしく」、楽しみながら農業のお仕事を続けています。
有機栽培されたニンニク“ホワイト六片”は、辛味が少なく柔らかな香りと甘さが特徴。
大地にストライプを描くように黒いマルチシートが並ぶ10月上旬の上富良野町の畑。有機認証を取っている「Nishio Farm(西尾ファーム)」のニンニク畑です。手がけている西尾さんご夫婦は2018年に新規就農したばかりですが、菜緒さんが代表を務める新しいスタイルの農家です。
上富良野町の有機農業者の元で研修した後、取得した農地で「Nishio Farm」の農業がスタートしました。ニンニク栽培を始めたのは、手に入った畑でニンニクがすでに栽培されていて、食べてみたら美味しかったことがきっかけになったそうです。また、人と話すことが好きな社交的な性格で、理系の菜緒さんが代表を務めることは自然な流れだったとのことです。この柔軟性が農業の可能性を広げる新しい取り組みを次々生み出してゆきました。
種にんにくの状態をチェックする西尾さんご夫婦。
ニンニク畑にまかれるニンニクの種。
現在栽培しているニンニクの品種は“ホワイト六片”と富良野在来種の2種類。肥料は自家製で、平飼いの養鶏場の鶏糞や、野菜くず、落ち葉など地域で手に入る有機物を熟成させ畑にまいています。採れたてのニンニクは辛味が少なくて柔らかな香りがあり、そのまま生で食べられるくらいの甘さと深いうま味が特徴です。
ニンニクの他ニンジンやカボチャなども栽培していますが、どれも農薬は一切使わず、環境に負荷をかけない農業に取り組んでいます。
美味しいニンニクをもっと食べてもらうための取り組みにも力を入れています。その一つがレシピ作りです。天ぷらや、ニンニクのしょう油漬けなどのレシピカードも手づくりしました。
ニンニクの他に作られているカボチャやニンジンも、化学肥料や農薬は使われていません。
ニンニクが広く使われるように、レシピを手づくりで制作。
就農前、西尾さんご夫婦は、小さなお子さんと札幌市に住んでいました。そんな菜緒さんが食を意識するようになったのは、友人の母親で、看護師をしていた女性がきっかけだったと言います。
その女性が患者の心や体のケアをするとき、野菜やハーブを使った美味しくて美しい食べ物や飲み物を大切にしており、それを口にしている患者さんが心を休めたり、元気になっていく姿を見て、「食に関わる仕事をしたい」と考えるようになったそうです。また有機農業の手伝いをする機会もあり、環境に出来る限り負荷をかけない姿勢に魅力を感じ、野菜を作る人や食べる人にも無理のない農業に関わりたいと思うようになったといいます。
北海道在住の女性陶芸家神尾優佳さんとタイアップし「アヒージョ鍋」も開発しました。女性のセンスが生きたナチュラルな風合いがオシャレな鍋で、「Nishio Farm」のホームページから購入できます。
「Nishio Farm」の野菜は、地元上富良野町や旭川市のスーパー、札幌市の有機野菜専門店で販売されています。また、札幌駅地下歩行空間で開催されるイベントに定期的に出店するなど物産展などにも積極的に参加することで、直接お客様の声を聞くことが刺激になっているといいます。特に、視察で訪れた東京のオーガニックの野菜は、有機のイメージとも言える「土付き」野菜が一切なく、有機農業を清潔な イメージ に変えて行くことが重要であることに気付かされたと言います。
新しい農産物としてホップの栽培も手がけ始めました。ビールの主原料として知られていますが、フリットやオムレツにもよく合うので、その普及にも力を注いでいます。
「有機農業を、美しく楽しく美味しくしていきたい」と語る菜緒さん。女性ならではの視点とセンスが従来の農業にはなかった新しい流れを次々に生み出しており、女性農業者の活躍が農業の未来を切り拓く可能性を強く感じました。
道内在住の女性陶芸家神尾優佳さんに制作してもらった「アヒージョ鍋」
海外のマルシェなどで並べられている有機野菜の美しさを実践したい。
「Nishio Farm」の新しい作物として栽培が始まったホップ
Nishio Farm 空知郡上富良野町東9線北16号 |