(株)占冠山村産業振興公社『ウドベージェ』

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「占冠が山菜のまちだということを全国に印象付けたい」と語る(株)占冠山村産業振興公社の鈴木さん。

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 心地よい苦みと、爽やかな香り。雪解けの野山を思わせるこのパスタソースは、人口1200人ほどの小さな占冠村で誕生しました。この村で2015年から始まった山菜料理コンクールの受賞作品から、初めて商品化した一品です。

 占冠村は、総面積の90%以上を森林が占める自然豊かな場所。かつて海の底にあったミネラルたっぷりの大地にはいま、太平洋に注ぐ鵡川の源流が流れ、春に恵みの光を受ければ無数の植物が一斉に芽を吹き出します。

 山菜もそうした中の一つ。村内の山中では、フキやワラビ、タラの芽などメジャーなものから、ヨブスマソウ、シドケ、シャクといった耳慣れないものも含めて、ゆうに30種類を超える山菜を見ることができます。

 このすばらしい山の恵みは古くから村民に愛され、特産品として売り出すため、昭和49年には加工工場が建設されました。近ごろでは村民有志の「しむかっぷ山菜を楽しむ会」が5~7月の最盛期に採り方や調理法、保存法を伝える取り組みを行っているほか、毎年5月末には「しむかっぷ村民・山菜市」を開いて観光客に手作りの山菜料理をふるまい、魅力を発信しています。

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山菜市の前日には村の仲間たちみんなで山に入り、山菜を収穫します(占冠観光協会提供)。
 

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 「占冠といえば山菜」というイメージを確固たるものにし、山菜の可能性を広げて地域を盛り上げたいと考えていた占冠村は、公募制の山菜料理コンクールを発案。村内のリゾートホテル・株式会社星野リゾートトマム、旭川大学短期大学部食物栄養学科と実行委員会を作り、2015年からスタートしました。

 コンクールは香りや食感を生かしたアイディアいっぱいの山菜料理を募集するもので、書類選考と実際の調理で審査します。年を追うごとに参加者の人数も地域も増え、現在では高校生や調理師専門学校の学生などを含め、全国から100を超える応募があります。

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コンクールの様子。毎年審査員も驚くような斬新なレシピが寄せられます(日本森林林業振興会旭川支部提供)。

 コンクールの最優秀作品は翌年に星野リゾートトマムでメニュー化され、上位8作品はレシピ集として発行されます。実行委はこうして集まったレシピを生かし、さらにコンクールの知名度を上げるため、レシピの商品化を検討。3回目から実行委に加わった山菜加工工場を持つ(株)占冠山村産業振興公社の取締役・鈴木知克さんや旭川大学短期大学部食物栄養学科の森重正也教授らメンバーが話し合うなか、全員一致で選ばれたのが、家庭で簡単に調理できる「ウドベージェ」でした。

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山菜料理コンクール優秀作品をもとに、旭川大学短期大学部とコラボ開発した「ウドベージェ」。
 

 これは2016年(第2回目)の優秀作品「ウドと道産チーズで作る“ウド”ベージェパスタ~春山の香り」(江別市の山口太一さんが考案)が基になっています。

 バジルを使ったイタリアのジェノベーゼソースのイメージで、山ウドの葉とオリーブオイル、ニンニク、松の実やカシューナッツを合わせてペースト状に。ウド特有の爽やかな風味が際立つマイルドな味わいで、茹でたパスタに和えたり、冷ややっこやピザに掛けたりと、万能ソースとして簡単に調理できるのが魅力です。鈴木さんは「通常は捨てられてしまうウドの葉だけを使った食品ロス削減にも配慮した商品で、完成後は道内外から取材依頼が相次ぎました」と笑顔を見せます。

 

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 鈴木さんはかつて、東京の料理企画コンサルタント会社で食の総合プロデュースを手掛けた経験を持つ実業家。道庁が主催する食品づくりの研修「フード塾」などにも熱心に通い、魅力ある商品の開発と広報に力を注いでいます。

 もちろんウドベージェが完成すると、さっそく各地で売り込みを始めました。まずは旭川の道の駅や駅の売店など中心部での販売を皮切りに、お土産品の卸業者と協力して道北の道の駅などエリアを拡大。さらに道内外の物産展に参加してPRを重ね、都心のサテライトショップや食品の物販を行う大型書店などでの取り扱いも決まり、順調に販路を開拓しています。2020年1月の発売から1年足らずでおよそ3000個を売り上げたことからも、商品への熱い思いを感じます。

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茹でたパスタに和えるだけ。旭川大学短期大学部・森重ゼミの学生からは、モナカや大福と合わせるアイディアも!
 

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 「コンクールについては、占冠といえば山菜だ、と誰もが知るイベントになるまで努力したいと思っています。それが、商品化を提案した気持ちの根底にあるものです」と鈴木さん。占冠という小さくも魅力に溢れた村の力を信じ、思いを共有してきた実行委メンバーたち。鈴木さんは地域を代表する農産物である山菜の魅力を小さな子供にも知ってもらいたいと、いま小学生の工場見学を受け入れています。「今後は子供向けのワークショップもできたらいいな」。小さな未来の担い手たちにも、期待を寄せています。

 商品化は今後も続々と予定されていて、現在、ヨモギやギョウジャニンニクをスパイスとして利用するキーマカレー、フキノトウを使ったアイスクリームやショコラ、ヤマブキで作る色鮮やかなようかんなどの試作が進んでいます。こうしたユニークな商品たちを通して、今後はたくさんの家庭の食卓で占冠の山菜が登場することでしょう。「食べて健康。しむかっぷ健康山菜」シリーズの快進撃は、始まったばかりです。

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占冠に自生する山菜のイラスト。これほどの宝が、活用のときを待っています。

 

株式会社 占冠山村産業振興公社

勇払郡占冠村字中央
電話/0167-56-2832
FAX/0167-56-2225
http://www.sen-nen-sai.co.jp/index

★令和5年3月掲載

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